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2024.03.27

連載

[進化する物流vol.16]ロボットとエレベーターが連携、ロボフレの事業成果を発表/経済産業省、ロボットフレンドリー施設推進機構

経済産業省とロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)は3月5日、都内で「ロボフレ事業報告会 ~ロボットが活躍するビルの環境、最前線~」を開催した。ビル内で複数台の移動式ロボットを運用する上での課題を解決する方法を開発し、そのデモを披露した。今後はその仕様を規格化し、ビルなどの施設管理業界への普及を目指す。

多くの企業が参画

 経済産業省では「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」を通じて、ロボットを稼働させやすいロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築のための研究開発を支援している。今回の報告会では、同事業の施設管理部門で技術開発や仕様検討などを行った企業が2023年度の事業成果を報告した。

 ALSOCは「ロボットとセキュリティー扉の連携標準化」、NECネッツエスアイは「複数ロボットの群管理制御の標準化」、森トラスト(東京都港区、伊達美和子社長)は「複合用途ビルにおけるRFA規格でのロボフレ環境実現と共有インフラの開発」、大和ライフネクスト(東京都港区、竹林桂太朗社長)は「既存設備を活用したエレベーター連携システムの開発」、日鉄興和不動産(東京都港区、三輪正浩社長)は「集合住宅における搬送課題解決プロジェクト」の成果をそれぞれ発表した。

複数台運用のデモを披露

エレベーターと移動式ロボットの連動デモ

 報告会が開かれたNECネッツエスアイ本社ビルは、移動式ロボットの群制御技術の実証試験の場でもあり、当日はそのデモも披露した。
 ビル内で複数台の移動式ロボットを稼働させる場合、エレベーターやドアなど狭い場所の通行が課題になる。同時に複数台が進入してしまうとすれ違うことができず、動けなくなってしまうからだ。同一メーカーのロボットであれば譲り合う制御もしやすいが、制御方式の異なる複数のメーカーのロボットが存在する場合はシステム連携の手間が膨大になってしまう。

リソース管理サーバーと通信し1台ずつ通行

 この課題を解決するため、NECネッツエスアイでは自動ドアやエレベーターなどを「リソース」と設定し、リソースの使用状況を管理するためのサーバーを設けた。
 ドアやエレベーターを通過する際には、ロボットが通信機能で「リソース使用」をサーバーに申請し、許可が出た場合に通行できる。他のロボットがそのリソースを使用中であれば、それが終わるまで他のロボットの進入は許可されない。同サーバーを経由し、階移動のためのエレベーターの呼び出しや、特定の権限のある人だけが通行できるセキュリティー扉の開閉などもできる。

「ロボットの普及には規格が必要」と話す経済産業省の石曽根智昭ロボット政策室長

 「いろいろな産業で人手不足が大きな問題となっている。ロボットは製造業では大きな成果を残してきたが、今後は製造業以外でも人手不足が確実視され、そうした分野にどのように普及させるかが課題。普及させるにはしっかりとした規格が必要で、来年度こうした成果を規格化していきたい」と経済産業省の石曽根智昭ロボット政策室長は話す。

「活動を加速させていきたい」と話すRFAの脇谷勉代表理事

 施設管理分野のロボフレ環境の構築を目指す事業者で設立されたRFAの脇谷勉代表理事は「今後も引き続き、さらなる規格や標準、ガイドライン、事例集などを発信し、フィードバックなどももらいながら活動を加速させていきたい」と述べた。


(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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