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2024.05.15

[活躍するロボジョvol.28]自分が納得するまで突き詰める/エヌテック 上田ひかりさん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。第28回は、飲料容器関連の自動化システムを得意とするエヌテック(岐阜県養老町、堤俊一郎社長)で、ペットボトルやガラス瓶、紙製容器などの検査装置の設計を担当する上田ひかりさんを紹介する。入社8年目の上田さんは今年4月に設計係のリーダーに抜てきされた。現在は4人の後輩をまとめる傍らで、自身も常に2~3件ほどの案件を抱える。分からないことがあっても、「何事も自分が納得するまでとことん突き詰めます」と力強く話す。

進捗を管理、フォローする立場に

 ペットボトルなどの各種容器の搬送システムや検査装置の設計、製造を手掛けるエヌテックの上田さんは、設計部設計課設計係でリーダーを務める。
 2017年に入社してからは主に検査装置の設計を担当しており、長年の経験を買われて今年4月からリーダーに抜てきされた。現在は4人の後輩のまとめ役として、案件の進捗(ちょく)管理や業務のフォローを担当する。
 「まずは後輩の抱える課題を自分が完全に理解できるまで落とし込みます。その上で、課題を早く解決できるよう、私自らが率先して動くことが大切です」と語る。

 同社は顧客の要望に応じたオーダーメイド品の設計、製造を得意とする。上田さん自身も設計者として常に2~3件ほどの案件を抱え、主に検査装置を設計している。
 「検査装置の構造や形状を自分で一から考えて設計するのが面白い」と話すが、顧客のさまざまな要望に応えるのは容易ではない。より柔軟な設計ができるよう、分からないことがあれば社内の先輩やエンジニアから教えてもらったり、インターネットで調べたりするなど知識のアップデートも怠らない。「何事も自分が納得できるまでとことん突き詰めるタイプです。しかし、自分だけでは分からないことも多いため、周囲の力を借りることも心がけています」と言う。

幼い頃からロボットが好き

顧客の要望に合わせて検査装置を設計する上田さん

 上田さんは「父が機械関係の設計をしていたこともあり、幼いころからロボットが好きでした。『戦隊モノ』の番組を見たり、男の子に交じって遊んだりしていました」と笑う。
 高校卒業後は、ロボットをより実践的に学べる場を求めて地元の専門学校に入学した。そこでロボットに関する基本的な知識に加え、設計や機械制御を学んだ。

 その後、ロボット業界や設計職を中心に就職活動を始めた。縁あって地元のエヌテックに入社し、今の部署に配属された。「自分の考えや知識を形にできるのが入社の決め手でした」と話す。
 同社は顧客にシステムや装置を納入する前に各部署の担当者が集まり、顧客の立ち合いの下で実機を使った動作確認をする場を設けている。上田さんは「自分が設計したシステムや装置が目の前で動く姿を見ると、『頑張ってよかったな』と心から感じます」と仕事へのやりがいを口にする。

後工程への配慮を忘れない

「常に後工程への配慮を忘れない」と話す上田さん

 上田さんは「後工程を担う人たちをいかに楽にするか」を常日頃から意識している。設計だけで仕事が完結するわけではなく、製造担当や画像処理技術の開発担当などのさまざまな人と関わるという。
 また、顧客が自ら装置やシステムのメンテナンスをする場合もあるため、「ねじ一つ取っても、後で組み立てやメンテナンスをする人たちが部品を取り外ししやすい設計を心がけています。後工程への配慮を忘れないよう注意しています」と話す。

 管理本部DX課の三宅英治課長はそんな上田さんを「自ら努力ができる人。分からないことがあれば、粘り強く、根気強く最後まで調べる。また、締め切りを守るなど、当たり前のこともしっかりとできる。仕事へのプロ意識が感じられる」と評価する。

目の前の仕事をやり切る

「まずは目の前の仕事をやりきる」と意気込む

 休日は兄弟とカフェに行ったり、ゲームセンターでUFOキャッチャーをしたりして楽しむ。しかし、上田さんは「景品を取ることよりも、アームを移動させる上部の機械構造ばかりに気を取られてしまいます」と笑う。
 また、回転寿司店に行っても、皿を載せたレーンの動きを熱心に観察するなど、私生活から学ぶことも多いという。「家族からは『職業病だね』とよく言われます」と笑顔で話す。
 
 今後の目標については「まずは目の前の仕事をやり切る。お客さまの要望にしっかり応えられるよう、一つ一つの装置をしっかりと設計したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

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