ロボット技術生かし医療装置市場を開拓/平田機工
平田機工は5月15日、都内で決算説明会を開催した。2023年度(23年4月~24年3月:連結)の業績は、受注高は862億3900万円と前期比8.0%減少したが、売上高は同5.6%増の828億3900万円、営業利益は同2.2%増の60億4700万円、経常利益は同7.9%増の62億5900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.7%増の43億4400万円と増収増益を達成した。
半導体向けは市場の在庫調整などの影響で減少したが、自動車向けでは内燃機関関連の売り上げが多く好調を維持した。
今年度は、自動車では電気自動車、内燃系自動車、ハイブリッドのいずれにも対応できる強みを生かして受注を獲得し、半導体では生成人工知能や車載用パワー半導体への投資需要を取り込むことで、売上高の増加を目指す。売上高は前期比20.7%増の1000億円、営業利益は24.0%増の75億円を目指す。
また、業績に与える影響はまだ小さいものの、ロボットの技術やノウハウを生かした新規事業に取り組んでいることも紹介した。
医療・理化学分野では、ソニア・セラピューティクス(以下ソニア、東京都中央区、佐藤亨社長)と提携して、がん治療装置の共同開発を進める。開腹せずに超音波を体内の一点に集中させてがん細胞を焼く治療法で、照射の位置決めにロボットアームを使う。現在はソニアが国内で治験を実施しており、今後はその治療装置をブラッシュアップして量産体制の構築を目指す。
「生産設備は顧客の要望に合わせて開発するが、がん治療装置は同一仕様の製品を水平展開できる。一品一様ではない、量産製品にも力を入れていきたい」と平田雄一郎社長(=写真)は話す。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)