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2024.07.08

連載

[活躍するロボジョ vol.29]ロボット業界は誰でも“普通”に働ける!/宮脇機械プラント 浅井愛実さん

宮脇機械プラント(兵庫県明石市、岡本淳社長)のシステム技術部で、自動化システムの導入サポートなどを担当する浅井愛実さんを取材した。自動化システムの構想の提案からユーザーとの打ち合わせ、見積もりの作成、導入サポート、アフターフォローまで、ロボットシステムに関することなら幅広く対応する。浅井さんは機械が好きで製造業に飛び込んだわけではないからこそ抱く、ある思いがある。

必要なのはコミュニケーション能力

 宮脇機械プラントは工作機械の専門商社だが、産業用ロボットを多数展示するショールーム「ロボットラボ&ショールーム」を本社内に構えるなど、近年はロボットを使った自動化の提案にも力を注ぐ。

 浅井愛実さんは、ロボットの導入サポートや補助具(ジグ)の設計などを担当するシステム技術部に所属する。
 浅井さんはロボットの導入に関する業務を全般的に担当する。業務の一連の流れとしては、まず顧客がどのような意図をもってロボットを導入したいかをヒアリングし、その要望に沿って構想を提案し、何度も打ち合わせを重ねて見積もりを作成する。受注が決まればそこからさらに打ち合わせを重ね、具体的な仕様を固める。プログラムの作成や導入時のティーチング(教示作業)、試運転だけでなく、導入後の現地での微調整なども受け持つ。

 機械商社で仕事をする上で必要なものとして、浅井さんはコミュニケーション能力を挙げる。「商社はメーカーとエンドユーザーの橋渡しをする存在なので、それぞれの要望や意向を正しく伝えないといけません。話半分で進めてしまうような早とちりや曲解はしないように心がけています」と浅井さんは言う。

ロボット業界に抱く思い

「男性でも女性でも、誰でも普通に働ける。それをロボット業界で働く方にも知ってほしいですね」と浅井愛実さん

 兵庫県で生まれ育った浅井さんは、神戸市立工業高等専門学校へ進学した。図面の基礎知識などを学び、4年生と5年生の2年間受講する選択授業はロボットを選んだ。「特に機械が好きというわけではなく、手に職を付けたかったので高専への進学を選びました。選択授業でロボットを選んだのは、ロボット業界の今後の展望が明るいと感じたから」と将来を見据えた上での決断だったと明かす。

 宮脇機械プラントへ入社するきっかけとなったのは神戸高専のインターンシップだ。その内容は地元のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)企業5社ほどを訪問するもので、その中に宮脇機械プラントがあった。「業務内容についてざっくばらんに説明する企業が多く、就職後のイメージがつきにくかった。その中で、宮脇機械プラントは過去の案件をベースに業務内容について具体的に説明してくれた。それに加え、社員同士の仲が良さそうな雰囲気を魅力に感じました」と語る。

 浅井さんは機械やロボットが好きでこの業界に飛び込んだわけでないからこそ、抱く思いがある。「特別機械が好きじゃないとこの業界で働けないなんてことはありません。男性も女性も普通に働ける。それをロボット業界で働く方にも知ってほしいですね」と語る。

目指すはオールラウンダー

浅井さんはこれまでに工作機械のマシンテンディングなどを担当した

 浅井さんは2020年に宮脇機械プラントに入社し、今年で5年目。入社当時は新型コロナウイルス禍の真っただ中だった。「コロナ禍の影響で、本来新入社員が受けるマナーの外部研修が中止になり、不安は正直ありました」と明かす。

 入社時にシステム技術部に配属され、最初は部品の図面の作成から始めた。「高専でロボットについて学んではいましたが、動かし方までは分かりませんでした」(浅井さん)。入社から3カ月ほどでロボットの導入など現場での作業を任されるようになり、現場でロボットについて学びを深めた。これまでに工作機械に被削材を付け外しするマシンテンディングなどの案件を受け持った。
 「案件のヒアリングや内容の整理、構想の提案、見積もりから導入までの一連の流れを一人で担当し、ミスなく納入できた時の達成感は大きかったですね。トラブル対応の速さを評価してもらえた時もうれしかったです」と振り返る。

 自動化の引き合いが多く、多忙な日々を過ごす浅井さん。プライベートでの気分転換が大事だ。「インターネット通販で毎日服を買ってモチベーションを高めて繁忙期を乗り切ったり、休日は車が好きなのでドライブすることが多いですね」とほほ笑む。

 今後はロボットだけでなく、プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)やジグの設計などもできるオールラウンダーを目指す。「システム技術部長が何でもできる人で、憧れがある。まずは自動化システムの導入の一連の流れを一人で担当し、常にミスなく完遂することを目指したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

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