AGFの新機能でトラックからの荷降ろしなどを実現/ラピュタロボティクス
新たに3つの動作を実現
ラピュタAFLは、ピッキング・アシスト・ロボットなどを販売する同社が昨年4月に発売したAGFだ。レーザーを照射して周囲を認識する2DLiDAR(2Dライダー)を採用しており、パレット搬送を自動化する。
新たに開発した機能で「トラックへの積み込みと荷降ろし」、「パレットの段積みと段ばらし」、「狭いエリアでの平置き」の3つを実現した。
トラックは荷台の後方の扉が開く一般的なタイプや、側面が開く「ウイング車」などに対応する。パレットの段積みと段ばらしは、パレットの高さがランダムであってもセンサーで高さを検知して動作に反映する。加えてラピュタAFLの左右のクリアランス(隙間)が15cmほどの狭いエリアにも搬送できるようにした。
7月19日に東京都江東区の門前仲町ラボで、これらの新機能のデモを披露した。デモではまず、ラピュタAFLがトラックから2段積みのパレットを自動で降ろし、指定の位置へ搬送した。段積み状態のパレットを狭いエリアに床置きしてから段ばらしをし、棚へ積み込むまでが一連の流れ。その動作が完了すると、再び棚からパレットを降ろして先ほど置いたパレットに段積みし、そのまま2段積みのパレットをトラックへ積み込んだ。
有元啓祐自動フォークリフト事業部長は「新たにセンサーの追加などはせず、ソフトウエアのアップデートだけでこれらの作業を実現した。これから納入する機種はもちろん、既に現場で稼働する機種にもソフトのアップデートで新機能を実装できる」と説明する。
ユーザーの要望に応えて開発
物流業界は、今年4月にトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用されたことで生じる諸問題の総称「2024年問題」に直面している。課題の一つであるトラックドライバーが荷物の積み込みや荷降ろしを待つ「荷待ち」時間の削減のためには、搬送ロボットを導入してこれらの作業を効率化するなどの対策が必要だ。
同社がラピュタAFLを発売してから多くの引き合いがあり、複数の物流現場への導入実績もあるという。ユーザーから寄せられる意見の中で、特に要望の多かった作業が今回新たに追加した機能だったという。2024年問題への対策という点でも、トラックへの積み込みと荷降ろしの自動化ニーズは大きい。
有元事業部長は「ラピュタAFLなら、トラックに積んだ16枚のパレットの荷降ろしを30分ほどで完了できる。人や障害物を検知して一時停止する場合や、パレットの位置が大きくずれていて認識が難しい場合でも効率的な自動搬送を実現できるよう、さらなる作業スピードの向上や、2Dライダーよりも高精度に周囲を認識できる3Dライダーの搭載などを目指す」と言う。
(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)
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