[国際物流総合展2024 vol.5]ロボットに何をさせるか?/ファナック、川崎重工業、ヤマハ発動機、ユーシン精機ほか
協働ロボ、産ロボそれぞれ
ファナックは、協働ロボットと産業用ロボットのそれぞれで目玉を用意した。
協働ロボットは、「CRX-30iA」を使い混載のデパレタイジングを披露した。サイズや質量、色、柄などの異なる段ボール箱を混載した荷役台(パレット)から、ビジョンシステムや人工知能(AI)などを駆使して教示作業(ティーチング)なしで荷降ろしができる。
ロボットアプリケーション技術本部の高橋広光副本部長は「協働ロボで、混載された質量の異なる荷物を自動で搬送できるようにした」と自信を見せる。
また、産業用ロボットでは、動作範囲が広い800kg可搬のパレタイジングロボット「M-410」を出展。従来は700kg可搬だった「M-410IB/700」から機械構造などを見直し、全高を700mm抑えた上で高可搬とした「M-410/800F-32C」を実演展示した。
「食品などの物流業界ではコスト意識が高い。コストバランスを意識して新たに開発した」(高橋副本部長)という。
AIで自律的に
川崎重工業はパレットだけでなく、カゴ車からの荷下ろしをするデパレタイズロボットを展示した。
ロボットアームの先端にAIを搭載した独自のビジョンカメラを取り付け、大きさの異なる箱も認識する。また積み上げるパレタイズもできる。その際には箱の大きさに応じて、適切な置き場を判断して積み重ねる。デパレタイズでは1時間で最大650個、パレタイズは同550個を処理できる。
隣接して出展した中西金属工業(大阪市北区、中西竜雄社長)は、コンテナやコンテナ型のトラックの荷台から荷降ろしするデバンニングロボット「ROBO Square(ロボスクエア)」を展示した。
同社が得意とするフォークリフト向けの無人搬送車(AGV)に、川崎重工業の産業用ロボットを搭載した。2箱同時に持ち上げることもでき、AGVから伸びるローラーコンベヤーに載せてコンテナの外へ排出する。今回展では、従来よりも処理能力を上げた高速モデルを初めて披露した。
新製品を披露するロボメーカーも
他にも複数のロボットメーカーが出展し、ヤマハ発動機は新製品の水平多関節(スカラ)ロボット「YK1200XG」をブースの前面でアピールした。アーム長は1200mmで可搬質量は50kgと、大型で重い物を扱える。会場では高速に稼働させ、サイクルタイムの早さをアピールした。
また、「リニアコンベアモジュール LCMR200」や直交ロボットを組み合わせた「フレキシブル自動倉庫」なども展示した。担当者は「物流業界の展示会に出展するのは初めて。業界の人手不足にアプローチしたい」と語る。
ユーシン精機は直交軸を組み合わせた「省スペースパレタイジングロボットPA-50LC」と「同PA-20」を出展した。コンベヤーで連結して段ボール箱を行き来させ、PA-50LCではデパレタイズとパレタイズを、PA-20ではカゴ車への積み降ろしを実演した。
担当者は「三方を柵で囲われたカゴ車の荷物の取り扱いに垂直多関節ロボットを使うと、アームの取り回しが難しい場合がある。直上からアプローチできる直交式は、簡単に扱える」とアピールした。