[2023国際ロボット展リポートvol. 15]各社各様でロボットメーカーの個性光る【後編】/三菱電機、ファナック、オムロン、不二越
リニアトラックシステムでEV向けデモ披露/三菱電機
三菱電機はブース内に、電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池製造ラインのデモシステムを設置した。
産業用ロボット「MELFA(メルファ)シリーズ」の新製品「FR PLUS(プラス)」や現在開発中の搬送システム「リニアトラックシステム」などを組み合わせた。
リニアトラックシステムでバッテリー部品を搬送し、FR プラスで組み立てや溶接などを自動化した。また組み立て後のバッテリーケースは分解し、同社の循環型社会への取り組みもアピールした。
FAシステム事業本部機器事業部ロボット・センサ部の武原純二主管技師長は「リニアトラックシステムは高速かつ高精度に動くため、ロボットや自動機などと連携して高度な生産ラインを構築できる。来年度中の発売を目指し、検証を重ねている」と話す。
新製品のFRプラスは従来機種に比べて制御技術が向上し、動作時間を30%短縮した。FRプラスと従来機種を並べて設置し、同じ動作をした場合にどれだけ差が出るかのデモも披露した。他にも音声ティーチングや遠隔操作、保守・運用に関するクラウドサービスなど先進的な取り組みも紹介し、来場者の注目を集めた。
サイバーセキュリティーの国際規格の第三者認証を取得/ファナック
ファナックは事前に発表した各種展示に加え、ロボット制御装置「R-50iA/R-50iA Mate」を会場内で大々的に発表した。
最大の特徴は、サイバーセキュリティーの国際規格「IEC62443-4-1」「IEC62443-4-2」の第三者認証を取得していること。インターネット通信を暗号化する仕組みのHTTPSや外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール、パスワードによるユーザー認証機能などに対応する。
「従来から安全性は高かったが、R-50iAでは第三者認証を取得しており、モノのインターネット(IoT)機能などもより安心してお使いいただける。ロボットでこの認証を取得するのは世界初(同社調べ)」と稲葉清典専務は言う。
ロボット制御装置を刷新するのは11年ぶりで、サイバーセキュリティーの他にも各種制御性能や省エネルギー性、保守性などさまざまな性能を高めた。