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2024.12.27

コラム

[エディターズノートvol.10]2025年の3大トレンド !

 今年最後のエディターズノート。今回は「2025年はこれが来る!」という3大トレンドを紹介したい。

米国の展示会で展示されたApptronikのヒト型ロボット

 1つ目は「ヒト型ロボット・ヒューマノイド」。従来のヒト型ロボットは技術力の誇示や話題作りのための「非実用品」が多かったが、工場や物流現場で使える「実用品」を目指すものが増えている。まだまだ実証試験段階のものが多いが、「この用途ならヒト型を使う価値がある」というキラーアプリケーションが生まれれば、それに応じてロボットも進化する。
 ヒト型ロボットはSFの世界の話ではなく、10年~20年単位で考えると「産業用ロボットの一つの形」になるのかもしれない。

自律性を生かして下膳作業する安川電機の「MOTOMAN NEXT」

 2つ目が「ロボットの自律化」だ。人が教えた動作を単純に繰り返すだけでなく、周囲の状況を認識してそれに応じた動作をする。自律化の筆頭は人工知能(AI)の活用で、AIとロボットの相性の良さは、いまさら説明するまでもないだろう。
 AIをうたわないシステムや、AIを使わないシステムであっても、ビジョンセンサーなどを活用しながらある程度自律的に作業できるロボットシステムが少しずつ増えている。

「国際物流総合展2024」で展示されたファナックの物流向けロボットシステム

 3つ目は「ユーザー産業の拡大」だ。ロボットは製造現場で使われることが多かったが、近年は物流現場の自動化に使われることも増えた。パレット(荷役台)に荷物を積むパレタイズ(荷積み)やデパレタイズ(荷降ろし)には産業用ロボットが使われ、搬送装置や自動倉庫にもさまざまなロボット技術が活用される。
 今後は物流だけでなく、小売業やサービス業、建設業など、あらゆる産業がロボットのユーザーになり得る。普及の近道は、各業界の設備メーカーにロボットを組み込んでもらうことだろう。ロボットは、あらゆる業界の設備を進化させるパートナーだ。

 冒頭に「2025年はこれが来る!」と書いたが、実は1~2年でこれらの要素が大きく進展するとは考えていない。挙げた3つが示すのは「人と同じ環境で同じ作業ができ、人のように判断でき、人が働く幅広い現場で使える」こと。ベースにあるのはロボットに対する普遍的なニーズだ。腰を据えて長期的に取り組むべきことで、決して一時的なトレンドではない。

 記事の最初に「これがトレンドだ」と書いておいて、最後を「トレンドではない」で締めくくるとはなんたることか。そう思う読者諸氏もいるかもしれないが、年の瀬ということでご容赦いただきたい。
 それでは皆さま、良いお年をお迎えください。来年もどうぞごひいきに。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



※「エディターズノート」はロボットダイジェストの編集後記として毎月月末に掲載しています。

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