「自動溶接は難しい」との先入観をくつがえすロボットシステム/スギノマシン
センシングしながら溶接
溶接工程が大きく変わる
フジムラ製作所はこれまでも溶接の自動化を進めており、すでにスギノマシン製とは別のロボットシステムが二つ稼働していた。
既設のファイバーレーザー溶接ロボットは、溶接前にワークの固定などをする段取りに課題があった。ファイバーレーザー溶接はTIG溶接と比べ溶接幅が細く、少しのひずみも仕上がりに大きく影響する。これまでは溶接中のひずみを抑えるためにワークをジグ(補助具)に強く固定してから溶接していたが、その段取りに時間がかかっていたという。
今回導入したシステムなら、それらの課題をクリアできる。フジムラ製作所の藤村社長は「溶接工程がこれまでと大きく変わる。まだ稼働したばかりだが、従来と比べ3割ほど作業の効率が高まる見込み。その分、作業者は付加価値の高い作業に注力できる」と話す。
同日にフジムラ製作所の工場内で開かれた同システムの発表会では、ワークの位置をあえてずらして溶接デモを披露した。ワークの位置に合わせてロボットが動きを変え、問題なく溶接できることをアピールした。
同システムはティーチング(教示作業)が簡単な点もメリットという。スギノマシン独自のシミュレーションソフト「CROROROS(クロロロス)」にワークの設計データを取り込み、溶接箇所や条件を指定すると、溶接経路が自動生成される。
RI事業部長の大西武夫執行役員は「自動溶接中に、パソコン上でクロロロスを使い次のワーク用の溶接経路の設定もできる。ティーチングが難しいとの声は生産現場に多く、誰でも扱えるようにクロロロスを開発した」と言う。
近年、人手不足から溶接の自動化に取り組む企業は多いが、ワークに合わせた溶接経路の補正やティーチングなどが課題だった。杉野副社長は「これまでの経験や知識から、溶接の自動化を諦めてしまった企業もある。自動溶接は難しいとの先入観を、わが社の技術でくつがえしたい」と力強く語る。
(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)
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