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2024.11.25

連載

[SI基礎講座vol.18] 導入ステップ②

ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する基礎知識を紹介する本連載企画。「ロボット導入ステップ」の2回目となる今回は、ロボット導入前の「地ならし」のタイミングや、具体的なステップについて紹介する。

〔今回の講師:中小機構 経営支援アドバイザー 加藤栄作先生〕


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【今回のポイント!】
〇要件定義の前に「地ならし」を
〇ステップ1、プロジェクトチームを作る
〇ステップ2、現状とあるべき姿とのギャップを把握

「地ならし」のタイミングとは

地ならし作業の推進者(SI基礎講座、スライド資料より)

 「ロボット導入ステップ①」でもお話ししましたが、事前の地ならし作業はロボット導入企業が主体で行ってください。
 あなたがロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)なら、導入企業から「地ならしもあなたのところでやってよ」と言われることもあると思います。それでも、そこは導入企業の側にしてもらうことが基本になります。私のようなコンサルタントもそうですが、SIerも客先に常駐することはできませんので、導入企業が「自分たちで取り組む」といった姿勢が大事です。

地ならしを実施するタイミング(SI基礎講座、スライド資料より)

 地ならしを実施するタイミングについて説明します。
 ロボットの導入プロセスとしては、まず「事前検討・調査」があり、次に「仕様検討」をして、その後に「導入・立ち上げ」となり、最後に「改善・保守」という流れになります。最初の「事前検討・調査」のところでは、導入の目的をまずは明確にして運用の環境調査や投資効果の見極めなどを行います。そして要件を明確にし、要件確認書を作成します。その要件の中身を踏まえて、地ならしの段階で何をすべきかを考えなければならない。その後の要件定義の前に、あるべき姿を思い描いてそこに向けて現場を改善していかなければいけません。

 そういう下地ができたなら、そこからロボットのSIerも入り込んで、環境機能要求の確認や企画・構想、仕様検討、見積もりなどいろいろと進めていきます。要件定義作業は、一番大事な部分です。導入企業とSIerで、とにかくこれを正確に漏れなく作ってください。要件定義の詳細については、後々改めて説明します。
 要件定義ができれば、あとは導入・立ち上げをし、運用中の改善へと進んでいきます。

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