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2025.04.07

[ロボットが活躍する現場vol.45]半導体製造装置部品の加工・測定を自動化/公精プラント

公精プラント(長崎県島原市、坂本充宣社長)は半導体製造装置の部品加工から測定までの一連の流れを6軸垂直多関節ロボットで自動化する。ただロボットを使うだけでなく、3Dプリンターでハンドの爪部分や測定機のジグを自分たちで製作する環境を整えたことで、臨機応変な対応も可能にした。同社の自動化生産ラインを見学するために九州各地から企業が訪れるという。

加工から測定までを自動化

公精プラントの本社外観

 公精プラントはアルミやステンレス、チタンなどの複合旋盤加工に特化しており、複合NC(数値制御)旋盤やNC旋盤、マシニングセンタを活用する。高い加工精度が求められる半導体製造装置の部品加工が中心のため、3次元測定機を本社工場に2台、第二工場に3台設置する。

 「ただでさえ製造業は人手不足だが、わが社が本社を構える長崎県島原市は郊外のため、人材採用が殊更に難しい」と坂本社長は話す。2020年に第二工場を建設したのを機に、人手不足の対策として第二工場内に自動化生産ラインを立ち上げた。
 6軸垂直多関節ロボットを導入したことで、これまで人手を使っていたワーク(加工対象物)のローディングやアンローディング、測定機へのワークのセッティングを自動化した。

3Dプリンターでカスタマイズ

ハンドの白い爪部分を3Dプリンターで内製した

 ロボットハンドはエアを吹き出す機構を備えた特注品で、機械にワークをローディングする前に、旋盤のチャック部分などに付着した切りくずをエアで吹き飛ばすことで、加工精度を安定させる。

 3Dプリンターも導入したことで、ワークの形状やサイズに合わせて自分たちでロボットハンドの爪部分や測定機のジグ(補助具)を製作できるようになった。「自分たちでできることを増やしたことで、万が一トラブルがあっても自分たちで対処が可能になったため、ラインの停止時間の短縮につながる」と語る。

今後も自動化を模索

「最終検査工程にもロボットを導入したい」と話す坂本充宣社長

 加工から測定まで自動化した小規模な工場は九州では珍しく、自動化を検討する企業が九州各地から時折見学に訪れる。

 今後は品質管理部門の最終検査工程へのロボット導入を目指す。「最終検査作業は測定機へのワークのセッティングから梱包作業まで全て手作業で賄っている。梱包までは難しいとしても測定機へのワークのセッティングや取り外しのような単純作業を自動化したい」と坂本社長は意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)


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