電源さえあればどこでもロボット、5G環境のスマート工場
ケーブルの束消える
実証実験は昨年、北九州市八幡西区のデンソー九州(北九州市八幡西区、浅野幸男社長)北九州工場で行われた。
北九州工場は1993年、当時の日本電装北九州製作所としてカーエアコンの製造工場としてスタートし、2006年12月からは新たにディーゼル燃料噴射機器部品を生産する。カーエアコンは国内に、ディーゼル燃料噴射機器部品は海外に出荷している。
西田准教授は工場内に産業用ロボットを持ち込み、ベルトコンベヤーを流れる部品を教示作業(ティーチング)レスでピッキング作業をさせた。
ロボットに動作を指示し、ロボットからのセンサー情報を受ける高性能コントローラーパソコン(PC①)からの情報と、ロボットの手元を計測する3次元計測センサーからのデータやピッキング対象物の位置情報を受ける高性能コントローラー(PC②)からの情報が、それぞれ5G通信用端末を通じて、ワイヤレスでメインPCに送られる。つまり、電源さえあれば工場のどこにでもロボットを置いて作業させられる仕組みだ。
デンソー九州の規則上、実験では床に置く装置はボルトで固定する必要があったが、実際にはボルトで固定する必要はなく、1人で軽々とロボットを移動させられる。
5Gのネットワークがあれば、作業手順さえ事前にティーチングしておけば工場の生産ラインのどの作業でも協働ロボットが代行できる。ラインで働く作業者が急病で欠勤し、体調がすぐれず早退しても、その場でのティーチング作業なしでロボットが代わりに作業できる仕組みだ。