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2024.02.15

[進化する物流vol.15]製造業からも増える引き合い、物流システム機器の新提案

拠点内での物の搬送や仕分け、保管などを省人化する物流システム機器に注目が集まっている。人手不足による物流危機「2024年問題」に対応するため物流企業からの関心も高いが、近年は製造業からの引き合いも増えている。製造業でも部資材の入荷や保管、工程間搬送、製品出荷、保守用部品の保管など、物流システム機器が活躍する場面は多い。1月に都内で開かれた「スマート工場EXPO」などに出展した物流システム機器メーカーに、製造業向けの最新提案を聞いた。

保管密度高めAGV連携も可能に/HAI ROBOTICS

HAI ROBOTICSが提案するハイピックシステム

 中国の深センに本社を置くHAI ROBOTICS(ハイロボティクス)の日本法人HAI ROBOTICS JAPAN(ハイロボティクスジャパン、埼玉県三芳町、新井守社長、以下、HRJ)は、これまで物流関係の展示会には出展してきたが、今回初めて製造業関係の来場者が多い展示会に出展した。
 製造業では製造工程の自動化は進んでいるが、工場内での物の搬送や保管にはまだまだ人手がかかる企業も多く、「人手不足が深刻化する中で、そこを自動化したいとの引き合いは少なくない」と同社営業企画部の盛田博リーダーは話す。

 同社が手掛けるのは、自動ケースハンドリングロボット(ACR)が棚への入出庫を担う自動倉庫システム「HaiPick System(ハイピックシステム)」。棚から出されたコンテナは作業ステーションに運ばれ、そこで作業員がコンテナから必要な物を取り出すなどの作業を行う。

ACRと組み合わせて使えるAGV

 同社は会場で、開発したばかりの新仕様「ハイピックシステム3」を披露した。従来システムからの大きな変更点は2つ。
 1点目は、ACRが棚からコンテナを引き出すための機構を変更したこと。従来は、コンテナの両脇からアームを差し込んで、コンテナを抱えるように保持して引き出していた。ハイピックシステム3では、コンテナの手前側にフックを引っかけて引き出す機構に変更した。
 フックを引っかける部分を連結することで、最大5つのコンテナを連結できる。連結したコンテナを奥行きのある棚に収納すれば、棚間の通路スペースを減らせる分、保管のための空間を多く確保できる。

 2点目が、無人搬送車(AGV)を追加したこと。多段式のACRと違って一度に一つのコンテナしか運べないが、作業ステーションへの搬送など、ACRと柔軟に組み合わせて使える。
 従来の作業ステーションは、ACRからコンテナを受け取る多段式荷降ろし装置とコンベヤーで構成される。一度に複数のコンテナの荷降ろしができ、作業効率は高いものの、設備が大規模になっていた。AGV向けのステーションなら、AGVがコンテナを置く場所さえあればよいので、非常にコンパクトだ。
 「ハイピックシステム3はもちろん物流施設でも使えるが、作業ステーションが大規模にならないので、そこにスペースを割けない工場にも最適。日本法人の人員はまだ少なく自社による営業展開だけでは限界があるので、一緒に市場を開拓してくれる製造業に強い商社のパートナーも探したい」と盛田リーダーは話す。

ジャスト・イン・タイム向けに提案/EXOTEC NIHON

EXOTECのSkypodシステムは、ロボットが棚間を昇降する

フランスの物流ロボットベンチャー企業EXOTEC(エグゾテック)の日本法人、EXOTEC NIHON(エグゾテックニホン、東京都港区、立脇竜社長)は、ロボット自動倉庫「Skypod(スカイポッド)システム」を提案する。
 このシステムの大きな特徴の一つが、注文から出庫までの時間の短さだ。こうした特徴を生かし、即日配送に注力するヨドバシカメラのインターネット通販用倉庫などに導入されている。

 「日本ではユニクロやヨドバシカメラの倉庫に導入されているシステムだが、実は自動車部品などの製造業にも適しており、日本でも既に実績がある」と丹生孝正マーケティングディレクターは話す。
 自動車などの製造業では、必要な時に必要な量を届ける「ジャスト・イン・タイム」が重宝される。出庫までの時間が把握しやすく、短時間で出庫できるこのシステムは、ジャスト・イン・タイムを求める顧客への納入に最適と言う。また、保守部品を保管するパーツセンターにも使用できる。

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