[ロボットが活躍する現場vol.1]協働ロボ、可搬重量の小ささをどう補う?/グローリー【前編】
ロボット導入で作業量アップ
従来は金型の清掃から離型剤の塗布までの工程を、女性中心の8人の作業者が担当。1日で150個以上の金型を清掃していたが、こなせる数量のさらなる増加が必要だった。
また金型の総重量は約12kgあり、ウレタンを注入する穴は金型1個につき20個ある。作業量と重さ、作業の細かさなどを背景に、ロボットによる自動化が強く求められていた。
そこで、2017年の4月に川崎重工業の双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」の導入を決めた。
2台並べて作業を分担させ、1台目が金型を清掃し、2台目が離型剤を塗布する。
一連の工程のサイクルタイムは約5分で手作業よりも若干長いが、休憩や就業時間などを考慮しなくていいのでこなせる作業量は大幅に増えた。
創意工夫で協働型ロボットを生かす
自動化システムの構築を主導したのは、真殿技師長と岩本正彦生産技術部主任技師の2人。真殿技師長がシステム全体の工程設計を担い、岩本主任技師がプログラミングを担当した。
自動化にあたり、当初は垂直多関節ロボットの導入を検討していたが、柵を含む設置面積が大きく、ハンドリング時のプログラミングも複雑になるため、水平方向の移動が得意な双腕スカラロボットに決めた。
デュアロはプログラミングのしやすさや設置面積など、さまざまな面で今回のシステムに適していたが、ただ一つ問題があった。それが、可搬重量の制限だ。
金型の重量12kgに対し、デュアロの片腕当たりの可搬重量は2kgしかなく、金型を持ち上げて運ぶことができなかった。
――後編に続く
(ロボットダイジェスト編集部)
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年2月号に掲載した内容を再編集したものです。