オープン化時代に使いやすい汎用コントローラーを【前編】/KEBA Japan村上正和社長インタビュー
より付加価値を生む部分へ特化を
――基本動作を簡単に設定できてしまうと、ロボットメーカーの独自性を出しにくくなるのでは。
そんなことはありません。むしろその反対です。先ほど述べたのは、ロボットの動作の基本中の基本となる部分。このベースの上に、各社の特徴やこれまで培った技術、ノウハウを詰め込めます。ロボットの動作の基本部分は、付加価値を生み出しにくい。ベース部分のテンプレートがあるコントローラーを使うことで、製品開発の期間を短くしたり、付加価値を生み出す自社の特徴の創出に注力できると思います。またオペレーティングシステム(OS)は、Linux(リナックス)ベースです。リナックスは自由にカスタマイズできるオープンソースなOSで、システム構成を変更しやすく独自の要素も盛り込みやすいでしょう。
――OEMに特化する難しさはありますか。
わが社のブランド名が表に出ないので、知名度向上は難しいですね。例えば、エンドユーザーが使うティーチングペンダントには、わが社ではなくロボットメーカーのロゴが入る。ただ、日本ではここ最近、ロボットメーカーからの認知度は上がってきたと感じます。昨年の「2019国際ロボット展(iREX2019)」では、本当に多くのロボットメーカーにお声掛けいただきました。
――日本メーカーに対する印象は。
KEBAとしては、日本を重要な市場と考えています。世界の産業用ロボット市場で日本メーカーの生産台数は約6割を占める。ロボットを制御するためのコントローラーメーカーから見たら、日本が巨大市場なのです。近年、日本メーカーの開発志向が変わってきた、と感じます。
――なるほど。詳しくは後編でお尋ねできればと思います。
よろしくお願いします。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
村上正和(むらかみ・まさかず)
1996年関西大学工学部卒。設備メーカーや外資系産業用ロボットメーカーの日本法人を経て、2015年にKEBA Japan入社。16年より現職。1973年大阪府出身の47歳。