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2022.05.25

[活躍するロボジョvol.12]なせば成る!/チトセロボティクス 立花京さん

やっぱりメカが好き

年齢の近い子供を持つ西田亮介社長(左)とはお互いに公私ともに何でも話す

 現在は経営のほか、エンジニアとしてはアームの先端に取り付けるエンドエフェクターの開発を主に担う。
 電磁弁の特殊な制御により、把持の幅と圧力を自在に制御できる空圧式ロボットハンドを開発するなど、独自の技術を盛り込む。ポテトチップスを初見でつかむ、ふわふわの焼き菓子をつぶさずにつかんで高速搬送するといったこともできる。

 好きな言葉は「なせば成る」。「ロボットに不可能はない。『やったことがないからできない』ではなく、苦労があっても『頭をひねれば何とかできるのではないか。まずはやってみよう』の精神で取り組んでいます」と言う。

 社長の西田さんは「リンクなどさまざまな機構をうまく使い、シンプルで機能的なエンドエフェクターを開発できるのは立花さんならでは」と立花さんの技術を評価する。立花さんも「学生時代はソフトも学んだが、好きなのはメカ。制御軸数を無駄に増やさずに解決できるなら、その方が良い」と話す。
 訪問時も、リンク機構を活用し、シリンダーのストロークを何倍にも拡張して、大きな物から小さな物まで一つで把持できる万能グリッパーを見せてくれた。

ラインアップを一気に拡充

crewbo studioのデモ。ケーブルのような柔軟性のある不定形物も扱える

 同社が販売するのは、「crewbo studio(クルーボスタジオ)」と「crewbo system(クルーボシステム)」という2つの製品だ。

 クルーボスタジオはロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)や生産技術部門向けの製品で、アルゴザの制御アルゴリズム(情報処理方法)を商用化したソフト。一方、クルーボシステムはロボットシステムの構築に不慣れなユーザー企業向けで、ソフトに加えロボットなどのハードまで一式をパッケージ化して提供する。

応接室のデモ用ロボットを触る立花さん。高級感のある壁紙は自分で貼ったもの

 「経営者としてみると、今年はわが社にとって大きな意味を持つ年」と立花さんは言う。クルーボシステムは、トレーを食器洗浄機に投入するシステムだけ先行して発売済みだが、食器を洗浄機に投入する「クルーボ食器システム」、包装されていない食品を直接扱う「クルーボ生食品システム」、レトルト食品などを扱う「クルーボ・パウチ・システム」を今年相次いで発売予定だ。
 「システムを見た人からは『こんなに速いの?』と驚かれる。洗浄機へのトレーや食器の投入など、厨房(ちゅうぼう)作業の中でも特に地味な作業こそロボット化すべき。病院や学校、社員食堂などの厨房でぜひ活用してもらいたい」と意気込む。

 立花さんには、幼稚園に通う長女がいる。生まれたのは創業の一カ月前で、「娘と会社は同じ年。娘の年で、創業何年目かがすぐに分かる」と笑う。取締役としての仕事、エンジニアとしての仕事もしながら、幼稚園のお迎えなどもこなす。多忙を極めるが、笑顔で忙しい毎日を送る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


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