最適な技術を最適な場所へ/三菱HCキャピタル 佐伯孝志ロボティクス事業開発部長インタビュー
いずれロボティクス事業を柱に
――スタートアップ企業との協業も重視されています。
これまでの実証実験でも、メーカーやSIerなどと共同で取り組んできました。中でも、優れた技術を持つスタートアップ企業4社とは資本提携を結んでいます。例えば今年6月に提携を始めた、小売店舗向けのロボットサービス開発を得意とするMUSE(ミューズ、東京都中央区、笠置泰孝社長)は、埼玉県にあるスーパーマーケットで実証実験中です。搬送ロボットを使った品出しの自動化を目的に実証を重ねており、実運用にかなり近づいています。実運用開始後にはロボットサービスとして展開できるよう、同社と協議を進めています。
――他に資本提携する企業は。
食品産業向けのロボット開発を手掛けるコネクテッドロボティクス(東京都小金井市、沢登哲也最高経営責任者)と、人工筋肉を応用しソフトロボティクスを開発するソラリス(東京都板橋区、梅田清社長)、搬送ロボットベンチャーのLexxPluss(レックスプラス、川崎市川崎区、阿蘓将也社長)です。ロボティクス事業開発部として資本提携しているのは現状4社ですが、他にも協力体制にあるメーカーやSIerは多数います。ユーザーに最適な技術を提供するには、われわれが幅広く情報を網羅している必要がありますから、業界についての知見をさらに深めると同時に、先進的な技術を持ったスタートアップ企業に関する情報も集めています。
――今後の意気込みを聞かせてください。
立ち上げから半年がたち、進むべき方向が定まってきました。わが社全体では主要な事業として「環境エネルギー」「航空」「ロジスティクス」「不動産」「モビリティ」がありますが、いずれロボティクス事業をそれらに並ぶ柱にするのが目標です。会社からの期待も大きく、中長期的な視点で進めていきます。まずは事例を増やし、事業の認知度を高めていきたいです。ユーザーの間で「自動化や省人化で困ったら、まずは三菱HCキャピタルに相談してみよう」となるのが理想ですね。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)
佐伯孝志(さえき・たかし)
1995年ダイヤモンドリース(現三菱HCキャピタル)入社。国内営業を経験後、2007年から経営企画や事業企画、戦略開発などの業務に従事。21年、経営企画本部事業研究・投資開発部長。24年4月、ロボティクス事業開発部が発足し、現職に就く。1972年生まれの52歳。
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