生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.06.15

連載

[ショールーム探訪vol.7]古い倉庫とハイテクに「ギャップ萌え」/HAI ROBOTICS JAPAN「HRJテクニカル・センター」

まずは低コスト、導入しやすさ

設備移動がしやすくレイアウト変更の柔軟性が高い

 従来、物流現場の自動化といえば「投資額が大きくなる」とのイメージが強い。そのイメージに反する「低コスト」を、まずは戦略として重視する。「HRJが示すソリューションは、低い予算でも手が届く自動化提案」(リュウ社長)。物流倉庫の自動化では、大がかりな自動倉庫や自律走行搬送ロボット(AMR)、無人搬送車(AGV)などがまずイメージされる。

 ハイロボティクスが切り開く新たなカテゴリーであるACRは、ケース(「トート」と呼ぶ)や段ボール箱(「カートン」と呼ぶ)を収めるラックとACRの組み合わせが基本。
 設備移動がしやすくレイアウト変更の柔軟性は高い。大がかりでないスモールスタートができ、その後の拡張性も高い。ピッキングできる高さは0.19~5.2mで、10mまで対応するタイプも。倉庫の高さに合わせて柔軟に対応できる。効率化などを実現する管理ソフト「HAIQ(ハイキュー)システム」の採用で人件費を抑えられる。
 HAIQシステムは、効率的で無駄のない「スマート倉庫」の頭脳とも呼べるもので、外部システムとの連携、データの可視化と分析、適正な倉庫運用を予測してモニタリングできる。これも自社開発だ。ハイピックは特許も得ており、GTPというトレンドに応え、顧客の物流現場を大きく発展させる有力なソリューションだ。

 「ACRは次世代型の物流ソリューション。現在も中国本社ではトライ&エラーを繰り返し、開発を進める。平均的な投資回収期間は約3年と設定している。インフラはネットワークのWi-Fi環境を整えれば大丈夫。スマート充電システムなどもラインアップしている。20人必要だった物流倉庫を5人に省人化できた顧客も」とリュウ社長は胸を張る。

顧客と一緒に

人はワークステーションで商品をピッキングするだけ。まさしくGTP

 今夏、今年12月に発売するフォークリフト型の新製品「ハイピックA3」をHRJテクニカル・センターにも設置するという。今後は物流向けだけでなく工場内の工程間搬送、つまりFA(工場自動化)向けのソリューションの幅も徐々に広げる構えだ。
 ACRに高い関心を寄せるのは、物流業界では物流業務のアウトソーシングを請け負うサード・パーティー・ロジスティックス(3PL)が多い。もちろん大手メーカーや問屋、小売業などからも高い評価を得ているという。
 「3PLに対する市場でのプレゼンスを確立しつつ、顧客ニーズを中国本社にフィードバックしてトライ&エラー、製品開発を重ねていく」(リュウ社長)

 基本姿勢は「顧客と一緒に」。そのための場がHRJテクニカル・センターだ。顧客ごとに実物のデモを見てもらい、必要なら実証実験に対応し、課題を発見して一緒に取り組む。
 HRJテクニカル・センターならば、顧客と一緒に、顧客の利益や喜びを追求できる――。その自信と喜びが、リュウ社長の表情から読み取れた。

[取材記者から]
実際のところ、HRJの事務所を目指して古い倉庫の階段を登りながら「本当にここか?」と不安になったものだ。まさかこれが演出とはつゆほども思わなかった。しかし、日本の物流現場を知る人からすれば、それでこそより身近に感じ、一気に信頼度が上がるのかもしれない。興味を持った人は、ぜひ自分の目で確かめてほしいものだ。感じるギャップの大きさは、記者の比ではあるまい。

(ロボットダイジェスト編集部 芳賀崇)

施設概要
名称:HRJテクニカル・センター
所在地:埼玉県入間郡三芳町竹間沢東4-6(本社に併設)
予約連絡先:049-265-6930(代表)、メールはinfo-jp@hairobotics.com(@は半角)

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