物流自動化の局面を変えねば、やがて廃れる/ギークプラス 加藤大和社長
「現場力」を生かす自動化を
――元々は中国発祥のメーカーですが、日本向けに合わせた提案に感じます。
日本でのビジネスに大切な要素の1つが、国内の事情に合わせたローカライゼーションです。ベースのAGVの出荷はグローバルで累計2万台を超えました。それだけの経験やノウハウがあります。ですが、日本と欧米や中国の倉庫事情は大きく異なります。
――具体的には。
まず、倉庫の規模。海外では都市圏の郊外に広大な土地を使って倉庫を建築します。一方、日本は、都市の郊外にも土地に余裕がありません。結果、階数を重ねて物量を多くするため、1つのフロアあたりの天井高は欧米よりも低いです。平均で5.5mでその下に配管やダクトもあります。また、消防関連の法令で防火シャッターの付近には棚を設置できず、防火シャッターの高さは4mと、天井よりも低いです。そこで、ポップピックも海外仕様では12段の棚でしたが、国内では10段に減らして3.7mに高さを下げました。また当然、制御ソフトは日本語対応です。サポート面では、365日24時間の保守体制を敷いています。その結果、EVE(イブ)では国内でもリピートオーダーをいただけます。リピートオーダーは信頼の証しと考えています。
――今後の展望はいかがでしょう。
人手不足が進むと、自動化機器を今すぐ欲しい現場が増えます。日本での使用環境をより深く理解する意図もあり、相模原市にテストセンター「LaaS(ラース)センター」を設けました。「現場力」とも称されますが、海外と比べると日本の作業者はマルチタスクで非常に優秀です。だからこそ、今までは自動化せずに事業を継続できた。しかし、今後はそうとは限りません。だからこそ、日本の良さも取り入れて、現場力を反映する自動化システムを開発して提案していきたい。そのためには競合他社との連携も、制御ソフトを統合して最適化する必要もある。そう信じて、開発と提案を続けます。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)