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2023.10.04

イベント

迫る「2024年問題」、物流業界の最前線に注目【後編】/国際物流総合展2023

どんな形状でももれなく吸着/シュマルツ

吸着面に広い隙間があっても対象物を持ち上げられる

 ドイツに本拠地を置く真空機器メーカーの日本法人、シュマルツ(横浜市都筑区、ゲッテゲンス・アーネ社長)は、パレタイズ・デパレタイズ向けの真空グリッパー「ZLW」を出展した。

 可搬質量の小さいロボットとも組み合わせられるように、同製品の本体質量は軽い。本体部分がアルミ製のハニカム構造をしているため、軽量でありながら可搬質量は最大で35kgを誇る。会場では軽量グリッパーと思えないほどパワフルに稼働する様子を披露した。

 グリッパーはワーク(把持対象物)を吸着した後、バルブを制御し真空状態を作る。そのため吸着面の大部分がワークに接触していなくても把持できる仕組みだ。
 ブースには吸着面に取り付けるスポンジと吸着パッドも展示し、多種多様なワークに対応できることを訴求した。
 担当者は「対象物のサイズや形状に合わせて選べるように、スポンジや吸着パッドの種類を複数そろえる。段ボール箱の他に缶詰や瓶なども搬送でき、幅広い業界に提案したい」とアピールする。

商社の自動化提案

山善のAI画像検査装置「EYEbe Genesis」

 機械商社の山善は、ブース内を複数に分けてさまざまなソリューションを提案した。
 人工知能(AI)技術で目視検査を自動化する「EYEbe Genesis(アイ・ビー・ジェネシス)」は、パソコンやカメラ、照明など必要な機器をパッケージ化した。

 ブースでは小型の商品の搬送ラインのデモシステムを展示した。商品の表面の文字やイラストを瞬時に認識し、良否を判定できる。
 営業推進室の池田佳奈枝係長は「早いスピードで動く対象物も自動で判定できる。食品の成分表など小さなテキストも認識可能で、現場の省人化に役立つ」と語る。

ブースの端で止まる停止精度の高さを訴求した(リンクス)

 輸入商社のリンクス(東京都品川区、村上慶社長)は、中国の産業用カメラメーカーHuaray Technology(ファーレイテクノロジー)のAMR「iRAYPLE(アイレイプル)」を出展した。
 ±5mmと高い停止精度を誇り、狭い通路など走行幅の限られる場所の稼働に向く。

 ロボティクス事業部の牛垣雅人事業責任者は「高速な搬送を求める場合は2次元コード式を、作業者が同じスペースにいる場合はSLAM誘導方式を適用できる。最大で500台を同時に制御できるシステムを構築しており、効率的な搬送の自動化を提案したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜、水野敦志、斉藤安紀)



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