生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.01.29

欧米や日本だけじゃない。台湾にもロボットメーカーが!【その3】

【その1】や【その2】では、ロボットメーカーや設備メーカーの動向を紹介してきた。【その3】では、安全柵なしで設置できる協働ロボットのメーカーや、ロボット部品メーカーの動きを紹介する。また、台湾でもロボット人材の確保や育成は急務であり、2つのメーカーによるユニークな取り組みを紹介する。

協働ロボメーカー設立/テックマンロボット

 安全柵なしで設置できる協働ロボットは世界中で注目を浴びており、台湾にも協働ロボットメーカーが設立されている。達明機器人(テックマンロボット)は、ノートパソコンの相手先ブランドでの販売(OEM)で国際大手のクアンタ・コンピューターが2016年に設立した100%子会社だ。安全柵なしで設置できる協働ロボットに特化してラインアップする。
 手首にビジョンセンサーが組み込んであることと、初心者でも扱いやすい独自のプログラミング方法が同社ロボットの特徴。「ロボットシステムを簡単に構築できること重視した、ユニークな製品」と陳尚昊執行長は言う。
 一昨年から精力的に販売代理店網を構築しており、日本にもナベルホールディングス(三重県伊賀市、永井規夫社長)など2つの代理店ができた。

  • 「日本にも販売代理店ができた」と話す陳尚昊執行長

  • ビジョンセンサーを標準搭載するテックマンのロボット

ロボット部品拡充/TBIモーション

自社の部品を使ったスカラロボット

 ボールねじや直動案内機器を製造販売する「TBI MOTION(モーション)」ブランドの全球伝道科技は、ロボット向け製品の品ぞろえを強化した。16年にスカラロボット用にボールねじとボールスプラインを組み合わせた製品を発表。17年には6軸多関節ロボットの7軸目(水平直線移動)向けのアクチュエーターを発売した。 
 同社は生産能力の増強を進めており、これまで複数に分散していた生産拠点を、2年前に台北近郊の30万㎡の新工場に集約した。販売やサービス拠点の拡充にも力を入れ、日本に販売・サービス拠点を設置する計画を進める。「生産財では『売った後』が重要で、タイムラグなくサービスができる体制を整えたい」と李進勝総経理は言う。

ロボ人材の教育に脚光/リンテック・ネクスコム

大学生、高専生向けのリンテックのインターンシップ

 台湾ではロボットのプログラミングやシステムインテグレーションができる技術者の育成も活発だ。ロボット人材は産業界で引く手あまたで、学生からの注目度も高い。
 リンテックは大学生や高等専門学校生を対象に、在学中の夏休みを丸々使ったインターンシップを実施する。通常の職場体験ではなく、同社製コントローラーが搭載されたロボットを使いこなせるようになるための研修だ。学生はロボットの技術を覚えることで就職に有利になり、優秀者には奨学金も与えられる。

ネクスコムの教育用ロボット

 「NEXCOM(ネクスコム)」ブランドの新漢は教育用のロボットシステムを開発し、販売を始めた。近隣の工業系大学からの要望がきっかけだったが、すでに複数の大学で採用され、企業からも引き合いがある。カバーがないため内部の構造が見え、通常の産業用ロボットほどの性能はいらないため安価だ。
 こうした取り組みは自社の人材確保にも有効だが、「工業系の大学生は卒業後に製造業に就職することが多いため、将来のユーザーに自社製品を知ってもらう狙いもある」とネクスコムの林弘洲総経理は語る。

――終わり
(ロボットダイジェスト編集部)


※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年10月号に掲載した内容を再編集したものです。
関連記事:欧米や日本だけじゃない。台湾にもロボットメーカーが!【その1】
関連記事:欧米や日本だけじゃない。台湾にもロボットメーカーが!【その2】)

TOP