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2019.09.30

連載

[注目製品PickUp!vol.18]性能と操作性が高い卓上ロボット【後編】/蛇の目ミシン工業「JR3000シリーズ」

ミシンメーカーの蛇の目ミシン工業は、自社設備として卓上ロボットを開発し、外販につなげた。現在のメイン機種は2014年発売の「JR3000シリーズ」。ミシンメーカーとしてのノウハウを生かし、高い剛性と繰り返し精度、高い操作性を実現した。また、用途によっては立ち上げにエンジニアリング力が必要なため、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)にも使いやすく、選びやすいものを目指すという。

卓上ロボ事業の拡張

 蛇の目ミシン工業の卓上ロボットが特に普及したのは、20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて。主な顧客である日本の電機業界は繁忙期にあり、「資金はあるが、新たな生産技術などを開発する時間がない」状況だったという。その代わりとして、組み立て工程などを自動化する専用ソフトウエア付きのJR2000シリーズは順調にセールスを伸ばし、2003年ごろまでには大きな普及を見せた。

 04年にリリースしたJR2000Nシリーズは、顧客が独自の専用ソフトを作れるカスタマイズ機能を搭載した。その後、14年にはJR3000シリーズにおいて、卓上ロボの稼働データを工場内のネットワークで共有できる機能も付け加えた。

 その間、08年には電機向け卓上ロボの元祖とされるソニーのグループ企業から卓上ロボット事業を買収し、09年には基板分割機として卓上ロボのパッケージ「JR2000NERT」を開発。現在では「JR3000ERT」「JR3303EBV」へと進化させ、電動化が進む自動車業界向けに需要を拡大し、また多品種少量生産にも対応できるパッケージとしている。

顧客の裾野が広い

ねじ締め作業向けパッケージ「ねじ締めロボット」

 需要の内外比は4:6ほどで、国内では自動車の電動化に伴う電機業界のニーズの高まりに応え、海外ではスマートフォン関連のニーズなどを中心に対応する。「卓上ロボは小さい物が得意。それゆえに顧客の裾野が広い」(産業機器営業本部長の保坂幸夫常務執行役員)。
 使用用途は、接着剤の塗布が50%、はんだ付けが30%、ねじ締めと基板分割が10%ずつ。より多く使われる塗布やはんだ付けについてはパッケージ化せず、卓上ロボを提供するだけだ。エンドエフェクター(先端に付けるハンドなど)は作らず、ハンドメーカーを顧客が選べる仕様にした。

 「塗布やはんだ付けは、ねじ締めや基板分割に比べて材料などについての知見やノウハウが必要な分野のため、立ち上げでは現場ごとに的確な判断やエンジニアリング力が要る」(保坂本部長)。だからこそロボットは、エンジニアリングの専門企業であるロボットSIerにとっても使いやすく、選びやすいものを目指すという。

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