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2020.03.18

イベント

ユニークな自動倉庫や柔軟に使える搬送ロボット【その2】/国際物流総合展

2月19日~21日の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「国際物流総合展2020」が開かれた。225社・団体が出展し、各社が自動倉庫やソーター(仕分け機)などの物流機器を展示した。今回展で特に大きな注目を集めたのが無人搬送車(AGV)だ。各社が盛んに新製品や参考出展製品をアピールした。

新型AGVでピッキング作業を実演

 今回の国際総合物流展で各社がこぞって新製品を発表したのが、物流用のAGVだ。倉庫内で棚やパレット(荷物を積む荷役台)を搬送できる大可搬AGVや、棚を回って指定された商品を集めるピッキング用のAGVなどが多数披露された。

トヨタL&Fカンパニーは「AiR-T」を参考出展

 豊田自動織機の社内カンパニーであるトヨタL&Fカンパニーは、「その物流に、ジャストソリューション」をコンセプトに複数のAGVを展示した。目玉は参考出展のAGV「AiR(エア)-T」だ。
 レーザーで周辺を確認して自律的に移動するレーザー誘導SLAM(スラム)方式により、床面に磁気テープなどを敷設しなくても自律的に移動できる。障害物がある場合もその場で停止するのではなく、自動で避けて通る。特殊な車輪で全方向に移動でき、方向転換による停止時間なども生じない。
 自律走行だけでなく人を追尾して後ろを追いかけることもできる。自動追従する場合も、IDタグやビーコン(無線標識)などの認識装置は不要だ。

 ブースでは作業者と協働で、棚を回って部品などを集めるピッキング作業を実演した。AiR-Tが人の後ろを付いて回り、人が棚から部品の箱を取り出してはAiR-T上のコンテナに載せた。

手前のAGV「キーカート」ではカゴ車をけん引

 また、シンプル機能のAGV「キーカート」も展示し、カゴ車のけん引を実演した。

 「労働力不足を背景に、来場者の自動化に関する関心はとても高い。わが社のAGVの展示にも大きな人だかりができた」と国内営業部販売促進室の熊野陽介企画グループ長は話す。

悪路、勾配にも対応

花岡車輌が開発した悪路や勾配に強いAGV

 花岡車輌(東京都江東区、花岡徹社長)は、悪路や勾配に強いAGV「DANDY AUTO-PILOT(ダンディー・オート・パイロット)を参考展示した。自由関節が組み込まれた6輪の「ロッカーボギー機構」を採用することで、勾配や段差があっても車輪が浮かず、しっかり地面をとらえられる。 

 「悪路や勾配に強いため、スロープがある羽田空港の格納庫で使えないか全日本空輸(ANA)と実証実験しているが、工場で使いたいとの声も多い。段差などで従来のAGVが使えなかった工場もあり、そうした現場でもダンディー・オート・パイロットの強みを生かせる」と営業本部国内営業部の松島史佳次長は言う。

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