[沖縄ウィークvol.1]ウチナーに来るかロボットの波!? 沖縄の自動化ニーズの今
年間の観光客数は1000万人超え
製造業をひも解く3つのポイント
沖縄県の製造業をひも解くポイントは、次の3つだ。
①県内総生産に占める比率が低い
②食品関係が多く、従業員数10人未満の企業が多数を占める
③労働生産性の低さと市場の小ささ
まず①だが、沖縄県の産業構造は、サービス業などの第3次産業が圧倒的なウエートを占め、製造業の割合は全国平均と比較しても非常に低いのが特徴だ。
沖縄県の基幹産業は観光業とIT産業の2つ。観光客が多いだけあり、観光業が県内産業の柱になっている。また、人件費が比較的安く、初期投資も少なくて済むことなどから、IT産業も発展している。
16年度の県内総生産は第3次産業が83.5%を占めた。製造業はわずか4.5%しかなく、全国平均の約20%の水準からは大きく下回る。
②では、経済産業省の2018年の工業統計によると、沖縄県の製造品出荷額のうち4割近くを食料品関係が占める。また、従業員数が10人未満の企業も全体の約4割で、従業員数100人未満の会社が9割以上だ。
③では、総務省統計局が実施した「2016年経済センサス活動調査」によると、沖縄県の労働生産性は全国最下位だった。②と連動するが、食料品関係の企業や経営資源に乏しい小規模な企業が多数を占めることがその要因に挙げられる。沖縄県商工労働部ものづくり振興課の古波蔵(こはぐら)寿勝課長は「手作業が多くなりがちで、労働生産性も全国平均と比べて低い水準にある」と指摘する。
県内の市場規模が小さいことも、沖縄県の製造業が抱える構造的な課題の一つ。北海道、本州、四国、九州の4島とも離れているため、製品を送るにしても輸送コストがかかる。
古波蔵課長は「観光業は外部要因に左右されやすいため、わが県では製造業をいかに成長させるかを重点施策の一つに掲げている。だが、わが県では製造業が育ちにくく、厳しい市場環境だ」と分析する。