5Gをどう使う? ロボットをリアルタイムに遠隔制御/ABB
デジタル変革のリーダーに
スイスに本社を置くABBは、産業用ロボットの業界で「世界4強」の一角を占める大手メーカーだ。重電や電力、電気自動車用インフラ事業も手掛け、それら全事業で「産業のデジタル変革」を推進する。
「通信の速度や容量が十分でなくこれまでできなかったことも、5Gがあれば実現できる」と日本法人(東京都品川区、アクセル・クーア社長)の又吉智子バイスプレジデントは言う。
例えば5Gで実現できることの一つが、遠隔地でのリアルタイムのロボット制御だ。今年1月にはスウェーデンの通信機器メーカーのエリクソンと、スイスの大手通信企業スイスコムと共同で、遠隔地に設置したロボットの制御デモを披露した。
協働ロボット「YuMi(ユーミィ)」を手元に1台、5G回線で接続した状態で1.5km離れた場所にもう1台設置。敷き詰めた砂に文字を書く動作を双方同時にさせ、その2台がタイムラグなく動作することを示した。
「その他、通信が大容量になればロボットに動作を記憶させるティーチング作業も遠隔でしやすくなる。5GとABBのロボット技術が組み合わされば、コストを抑えながら質の高いサービスが提案ができる」と又吉バイスプレジデントは話す。
各分野のトップ企業と連携
同社は15年ほど前から、現在で言うIoTのようなデジタル技術を積極的に提案してきた。
2017年には、設備の稼動監視などさまざまなサービスやシステムを提供できる共通プラットフォーム「ABBアビリティ」を発表するなど、近年その取り組みにさらに力を入れる。
前述のエリクソンやスイスコムに加え、米国のマイクロソフトやIBM、ヒューレット・パッカードエンタープライズ、フランスのダッソー・システムズなどとパートナーシップを締結。「ABBアビリティパートナー」として共に、幅広い産業向けに200超の機能を提供する。
「各分野のトップ企業と連携し、産業のデジタル変革をけん引するリーダーがABB。必要に応じて5Gも活用しながら、顧客ビジネスのデジタル化を支援し、生産性と競争力を高める新たな機会を切り開くことに貢献していく」と又吉バイスプレジデントは語る。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2020年4月号でもお読みいただけます。