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2021.06.23

連載

[気鋭のロボット研究者vol.19]ロボットを誰でも簡単に【前編】/豊橋技術科学大学 佐藤海二教授

佐藤海二教授は長年にわたり精密メカトロニクスの分野を専門に研究してきたが、2014年ごろからロボットの研究にも本腰を入れた。目指すのは、使いやすさと保守性を両立したロボットの開発。現在は振動やロボットの機構的な問題などを、自作ロボットの関節部分に搭載した内部センサーでどこまで検出し補正できるのかを調査している。

複数台ロボットを自作

 「誰でも簡単に使い続けられるロボット」――。佐藤教授は自身の研究テーマをこう語る。

 少子高齢化を背景にロボットの需要が高まる一方、労働人口が減少すればロボットを保守する技術者も減る。そのため、単に操作性や性能を追求するだけではなく、ロボットが自らの状態を診断した上で動きを補正できるようなシステムを開発するのも重要だ。

 佐藤教授は、使いやすさと保守性を両立したロボットを実用化するため、14年ごろから本格的に研究を開始した。制御技術に加え、機構の特性やセンシング技術も含めて幅広く研究するため、ロボットも複数台自作した。

自作ロボットと研究用に導入したモーションキャプチャー

 ロボットが自らの状態を適切に把握できれば、それに合わせてフィードバック制御をして誤差を補正できる。現在はその前段階として、自作ロボットの関節部分に搭載した内部センサーだけで、振動や機構的な問題などをどこまで検知できるのかを調査している最中だ。
 具体的には、佐藤教授が考案した制御理論に基づいて自作ロボットを動かし、その様子を高解像度のモーションキャプチャーで記録し調査する。

 佐藤教授は「ロボットの動作を調べるためにモーションキャプチャーを導入したが、実用性を考えると内部センサーだけで完結させる必要がある。まずは内部センサーだけでどこまでできるのかを調べたい」と話す。

――後編につづく
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)



佐藤海二(さとう・かいじ)
1989年3月東京工業大学大学院総合理工学研究科精密機械システム専攻修了。2007年4月同大学大学院総合理工学研究科准教授、16年4月同大学科学技術創成研究院准教授。17年4月から現職。13年2月から精密工学会の超精密位置決め専門委員会委員長も務める。1964年生まれの57歳。神奈川県出身。

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