生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.04.23

連載

[SIerを訪ねてvol.13]メカもロボットもお任せ【前編】/古賀機械製作所

全国のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する本企画。今回取材した古賀機械製作所(堺市美原区、古賀弘司社長)は、ロボットの動作プログラムや周辺機器を作るにとどまらず、さまざまなノウハウや工夫が必要な搬送装置やストッカー、工作機械やプレス機まで含めた生産設備全体を製作する。特に金属加工に関わる分野を得意とする。設計から部品加工、組み立て、プログラミングまで自社で対応できるのが強みだ。2018年にショールームを開設、19年にはサテライトオフィスや新工場が完成し業容を拡大している。事業全体を統括する古賀大輔専務は「それら施設に見合う実績をこれから作っていきたい」と意気込む。

金属加工関連が得意分野

 古賀機械製作所は、工作機械やプレス機などのワーク(被加工物)を機械に投入、あるいは集積、搬送するロボットシステムを得意とする。もともとジグと呼ばれる加工補助具の受託加工やプレス機の独自開発をしていたことから、金属加工に関する分野では豊富なノウハウを持つ。

 SIerとしては、金属加工だけでなく、医薬品を除くほとんどの分野で受注を重ねている。古賀大輔専務は「今ではどのような分野でも、『ひとまず構想設計してみましょう』と言えるようになった。実績を積んだことで、自動化できるかできないかの見極めも、かなりしやすくなった」と話す。

 同社の強みは、設計から製造、組み立てまで一貫して対応する点だ。ロボットのプログラミングはもちろんだが、ロボット以外のメカニカルな機構を設計するのも得意で、ロボットを使わない専用機や自動機も自社設計する技術がある。

ショールームで開発を効率化

ショールームでは自社製品の展示やテストをする

 同社は2018年に本社の隣にショールームを開設。19年には長崎県佐世保市にサテライトオフィスを開所し、本社近くに第2工場を建設した。古賀専務は「17年に大型案件があり、一段上のレベルを目指す投資のチャンスだった。まずはそれらに見合う実績を作りたい」という。

 ショールームはロボットシステムのテストをする場を兼ねている。「現場での調整だと負担が大きい。できるだけここで問題点をつぶし、効率的に開発を進めたい」と開設の狙いを語る。
 ショールームにはロボットを3台置く。一押しは、三菱電機のロボットに取り付けたタップ(穴にねじ溝を作る加工)ユニットだ。同社の独自製品で、ロボットアームの先端に付いているため自由な角度からねじ切り加工ができる。
 また、大型の順送プレス金型の内部に組み込み、型内でタップ加工するユニットも自社開発した。従来は後工程になっていたタップ加工をプレス加工と同時にできる。「組み込みを前提に金型を設計しないといけないが、ニーズにマッチした顧客からはリピート受注していただいている」と古賀専務。
 まだ顧客に導入した実績はないが、ショールームには協働ロボットである川崎重工業の「デュアロ」も置いている。

TOP