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2020.10.14

連載

[活躍するロボジョvol.1]後工程をいかに楽にするか/トライエンジニアリング 常松綾乃さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた新連載「活躍するロボジョ」。1回目は、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のトライエンジニアリング(名古屋市守山区、片山誠二社長)で、オフラインティーチング業務を担当する常松綾乃さんを取材した。大掛かりなロボットシステムを海外に納入した案件で重要な役割を果たした経験から、「後工程の人をいかに苦労させないかが大事」と学んだ。

SIerの技術力の高さに直結する業務

 入社4年目の常松さんが担当するオフラインティーチングとは、ロボット本体に直接動作を覚えさせるのではなく、ソフトウエア上で事前にロボットの動作プログラムを作成する作業のことだ。

 実際にロボットが設置される環境をソフトウエア上で再現し、ロボットや各設備が正常に機能するまで何回もシミュレーションをする。

 「オフラインティーチングがどれだけできるかが、そのSIerの技術力の高さでもある」と岡丈晴取締役が話すように、常松さんが担当するオフラインティーチングはSIerの仕事の中でも重要な役割を担っている。

 入社1年目からオフラインティーチングを担当する常松さん。社内には複数のオフラインティーチング用のソフトがあるが、全部を使いこなせるのは社内でも常松さんだけだ。「忙しい時には、パソコン(PC)の前で1日中格闘することも」と言う。
 

試行錯誤を重ね、パズルを解く

1日中PCの前で格闘することも

 これまでで一番大変だったのは、自動車のドアの端をローラーで折り曲げる同社独自のロボットシステム「ロボットヘミングシステム(RHS)」を海外の自動車メーカーに納入した案件だ。
 常松さんは、合計24台のロボットを使った大掛かりなRHSのオフラインティーチングに携わった。入社2年目の時だった。

 納入先が海外なので、オフラインティーチングで作成したプログラムが本当に機能するか、つまりシステムが正常に稼働するかを自分の目で直接確認できない。現地に出向く担当者にプログラムのデータを託すほかなかったが、担当者は現地で限られた日数でシステムを調整しなければならず、データに不備があっても簡単には直せない。

 「オフラインティーチングの時点で完璧な状態に仕上げなければならず、プレッシャーを感じた」と当時を振り返る。

 自動車メーカーから要求されたRHSのレイアウトを成立させるには、生産ラインの構成や、ローラーや加工ヘッドの取り付け位置を工夫する必要があった。
 ロボットに要求される作業時間を満たし、高い品質も保たなければならない。さまざまな条件を同時に満足する必要があり、常松さんはPC上で何度も試行錯誤した。
 
 全てを解決したときは「やっとできた」とパズルのピースが全てはまったような達成感を味わったという。

 こうした経験から、常松さんは「後工程を担う人をいかに苦労させないか」を常日頃から意識している。「オフラインティーチングはあくまでサポート。現地でのシステム調整などの作業時間が短くなるようなプログラムを作りたい」と意気込む。

 常松さんは高校と大学時代の7年間、部活動で弓道に没頭した。
 「一度決めたら最後までやり切りたい。弓道で培った、一つのことに取り組む力は今のオフラインティーチングの仕事にも生きている」と語る。
                     (ロボットダイジェスト編集部 鷲見咲美)

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