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2021.06.08

[特集FOOMA JAPAN2021 vol.11]FOOMA閉幕! 来場者は4日間で2万2000人超【後編】

アジア最大級の食品機械展「FOOMA JAPAN(国際食品工業展) 2021」が6月1日~4日の4日間、愛知県常滑市の「アイチ・スカイ・エキスポ」で開催された。会期4日間でのべ2万2420人が来場した。会場には多数の食品機械やロボットシステム、ロボット関連製品が展示され、大勢の来場者の熱い視線を集めた。後編ではロボットダイジェスト編集部が会場で取材した、出展者各社のロボットハンドの最新提案を紹介する。

食品つかむ「手」に熱視線

ダイドーの小間で初披露したシュマルツのフィンガーグリッパー「OFG」

 食品は形状が不ぞろいで、柔らかく形が崩れやすい物が多い。こうした不定形物をつかむためのロボットハンドも数多く展示され、来場者の注目を集めた。

 「協働ロボットと食品工場」を今回展のテーマに掲げるダイドー(名古屋市中村区、山田貞夫社長)は、ドイツの真空機器メーカー・シュマルツのフィンガーグリッパー「OFG」を初披露した。協働ロボットに取り付けるロボットハンドの指の部分に、米国食品医薬品局(FDA)の認証素材を使用。防塵(じん)・防水規格を示す等級は「IP68」クラスで、分解の手間なく洗浄ができ、食品を扱う工程でも安全に使える。

 エア駆動の柔軟な指で、変形しやすい物でも傷付けずにつかめる他、袋入りのドーナツやチョコレートなど形が崩れやすい物もつかんで搬送できる。欧州衛生工学・設計グループ(EHEDG)のガイドラインにも準拠したデザインで、洗浄性に優れ、汚れの堆積を予防できるタイプも用意した。 

 「食品業界は、他の業種と比べ中小規模の事業者が多い。協働ロボットの登場など、ロボット導入のハードルはこれまでより格段に下がった。これまで導入をためらっていた中小の事業者に、導入を促したい」とダイドーのロボット事業部の中村雅則部長代理は語る。
 「FOOMA JAPANには過去10年にわたり出展を続けてきた。わが社は自動車などものづくりの現場に強いイメージがあるためか、地元の愛知では東京や大阪に比べ、食品業界での知名度が低い。人手不足に悩む食品製造現場に協働ロボットの使いやすさをアピールしたい」(中村部長代理)という。

CKDが参考出展した「多機能ハンド」

 自動機械や空圧機器メーカーのCKDは、新開発のロボットハンド「多機能ハンド」を参考出展した。4本指のソフトグリッパーが食品を柔らかく包み込むようにつかむ。

 ハンドにはカメラを内蔵した他、電気信号に応じて空気圧をコントロールできる機器「電空レギュレーター」も搭載した。
 自社開発の画像処理ソフトウエア「Facilea(ファシリア)」を使い、搬送対象物の形状や柔らかさに合わせて把持力を調整するシステムを構築すれば、形状や柔らかさが違うさまざまな食材を一つのハンドで搬送できるようになる。ハンドに内蔵されたカメラで食材を撮影し、ファシリアで画像を解析し、その食材に合わせた把持力を電空レギュレーターで調整する流れだ。

 小間ではユニバーサルロボットの協働ロボットと多機能ハンドを組み合わせ、袋入りの生菓子とみかんをそれぞれ交互につかんで搬送するデモを披露した。

ニッタはソフマティックスの新製品を展示

 産業用のベルトなどを製造、販売するニッタは、食品業界向けのロボットハンド「SOFTmatics(ソフマティックス)」の新製品を披露した。
 ソフマティックスには、柔らかいウレタン素材を採用している。ハンドはエア駆動で、柔らかい肉やミニトマトなどの食品を傷付けずにつかめる。凹凸が無くなめらかな形状で、洗浄しやすく衛生的だ。

 同社は2019年にソフマティックスを3種類発売し、来年には新たに10種類の新製品を追加する。「形状と大きさが異なる10種類のハンドを拡充し、つかめる食品の種類を大幅に増やす」と説明員は話す。
 小間では、ソフマティックスを装着したファナック製の協働ロボットがナスや揚げ物をピック&プレース(物をつかみ上げて所定の位置に置く動作)するデモを披露した。

 次回展の「FOOMA JAPAN 2022」は22年6月7日~10日の4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される予定だ。

――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁、鷲見咲美、構成・桑崎厚史)

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