リアル展で協働ロボや産ロボ部品アピール【前編】
可搬10kgの新機種や、新たなUIを披露
昨年から中国・新松とドイツ・Franka Emika(フランカ・エミカ)の協働ロボットを輸入販売するリョーサンは、新松ブランドの6軸タイプ「Gシリーズ」の新製品「GCR10」を初披露した。これまでは最大可搬質量5kg、14kg、20kgの製品を揃えていたが、GCR10は最大可搬質量10kgで、最大リーチは1300mm。
また、同機と組み合わせ、新たなユーザーインターフェース(UI)も発表した。グラフィカルな表示を多用し、ブロックの組み合わせで動作プログラムを作成できるため、専門知識がない人でも扱いやすい。
「今回のUIから、日本語表示に対応した。これはメーカーが日本市場の開拓に本気になった証。国内での販売拡大に一層力を入れる」とソリューション事業本部の萩山公晴プロジェクトマネジャーは言う。GCR10以外の製品も順次、新たなUIに切り替わるという。
他にも同社は、人工知能(AI)技術を持つディジタルメディアプロフェッショナル(DMP、東京都中野区、山本達夫会長兼最高経営責任者)とコラボレーションしたシステムも展示した。市販のカメラと「ラズベリーパイ」と呼ばれる安価な小型コンピューターで、ロボットの稼働エリアを監視した。
稼働エリア内に何かが入ってきた場合に、ロボットの動作を止める、速度を落とすなど安全性を高めるためのシステムだ。「通常使われるレーザースキャナーと違って、このシステムならエリアに入ってきた物体を映像解析AIで認識できるので、『人なら動作を止めない、人以外なら止める』といった制御もできる」とDMPセールス&マーケティング部の長屋謙作FAEマネージャーは話す。
日本に合わせ独自仕様に
台湾の協働ロボットメーカー、テックマンロボットの代理店のSSI(浜松市中区、小笠原誠社長)は、テックマンロボット用のティーチングペンダント(操作盤)を開発し、会場内でアピールした。展示機は試作品で、外観デザインなどはブラッシュアップ中という。
テックマンのロボットは、ディスプレーやマウス、キーボードを使ったり、タブレットによる操作が基本となるため、標準仕様ではティーチングペンダントが付いていない。しかし、ティーチングペンダントを欲しがるユーザーは多かったという。そこで、テックマンロボット用のティーチングペンダントを独自に開発した。協働ロボットの販売とは別に、制御関係の機器の設計・製造を手掛ける同社ならではの製品だ。
「顧客からは『これが欲しかった』との声をいただいた」と小笠原社長は言う。「この他、荷役台(パレット)に荷物を積み下ろすパッケージシステム『TMパレタイジングオペレーター』も、対応するパレットのサイズなどを日本向けに変更して販売している。海外メーカーの製品をただ国内で売るだけでなく、日本に合わせてカスタマイズし、差別化を図る」と小笠原社長は言う。
3Dビジョンセンサーをアピール
研究室向けの協働ロボットなどを開発してきた東京ロボティクス(東京都新宿区、坂本義弘社長)は、繊細な力制御ができる協働ロボットと、協働型ではない三菱電機製のロボットに3次元(D)ビジョンセンサー「Torobo Eye(トロボアイ)SL40」を搭載して展示した。
同ビジョンセンサーは今年1月に発売した新製品で、「物の形状に加え色の情報も取得できるため、AIを使った物体認識ソフトとの相性も良く、不定形物のピッキングにも使える。引き合いは順調」と経営企画部の吉澤大知氏は言う。ブースでは、コンテナに入った唐揚げのピッキングデモなどを披露した。
「システムの組み方次第ではビジョンセンサー用コントローラーのハードウエアは省略できるので、コントローラーがないバージョンの開発も進めたい。元々リーズナブルな価格を意識した製品だが、コントローラーレスならさらに価格を抑えられる」と吉澤氏は話す。
後編では、テクノフロンティアで見つけたロボットやロボットハンドなどの構成部品を紹介する。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
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