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2021.07.06

リアル展で協働ロボや産ロボ部品アピール【後編】

6月23日~25日の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイト青海展示棟でモノのインターネット(IoT)などの展示会「インダストリーフロンティア」や、機械部品などの展示会「テクノフロンティア」が開かれた。前編では、インダストリーフロンティアの会場に展示された協働ロボットシステムなどを紹介した。後編では、テクノフロンティアの会場で見つけたロボットやロボットハンドに使える要素部品を取り上げる。

多数の軸を1台で制御

自作のスカラロボットやその他の軸を一体制御

 モーターや関連製品などを製造・販売する山洋電気は、自社製のサーボモーター、サーボアンプや、モーションコントローラーを組み合わせ、さまざまな展示システムを構築した。
 見どころの一つが、自社製品のファンの組み立てをイメージした展示システムだ。

 1台の「サンモーションC」で、4つの直交ロボット、2つのスカラロボット2台を含めた、合計18の軸を制御する。

山洋電気のサンモーションCはロボットの制御にも使える

 サンモーションCには産業用ロボット用の動作モデルがあらかじめ組み込まれているため、その機能を生かした制御だ。

 「市販のロボットは規格品で、各現場にピッタリと合うものではないが、自作すれば現場に完璧にフィットさせられる。内製した産業用ロボットの複合的な動作から、シンプルな直線運動まで1台で制御でき、ロボットもその他の機構も一体で自動化システムを構築できる」と営業本部サーボシステムグループの田添裕康シニアプロダクトスペシャリストは言う。

福島大学発のベンチャーも出展

2つの要素技術を組み合わせて開発したロボットハンド

 福島大学発のベンチャー企業のミューラボ(福島市、伏見雅英社長)は、今年1月に発売した電動3爪グリッパー「ミューダイナミクス・ロボットチャック」を紹介した。爪を除いた長さは93.7mmで、太さは30mm角と非常にコンパクトだが、20Nの最大把持力を持つ。

 これは、「立体カム」と「クラウン減速機」という二つの要素技術を組み合わせたもの。
 立体カムは、特殊な3次元形状により、回転動作を大きな開閉動作に変換する機構のこと。爪の開閉にこの機構を使うことで、コンパクトながら爪が大きく開き、大きな物も把持できる。機構部品同士が常に触れ合うため、歯車などで生じるバックラッシ(隙間)もなく、精密な動作ができる。

 クラウン減速機は、輪形状の歯車を重ねた構造の減速機だ。歯車が互いに触れる面に歯が切ってある。
 歯車の片方は歯が50枚で、もう一方は歯が49枚のため、完全にはかみ合わず、片側をかみ合わせると反対側が浮く。かみ合わせる箇所をずらしていき、その動作が1周するとかみ合う歯が一つずつずれる。この原理を使い、モーターの回転を減速する。
 コンパクトながら回転速度を50分の1にし、回転する力(トルク)は50倍に増幅できる。

 「全体の4分の1の歯は常に触れ合う構造なので、高い負荷にも耐えられる。ロボット用の歯車装置としては、半世紀以上前に開発され、いまやロボットに広く使われる波動歯車装置以来の大きな発明では」と喜藤充取締役は言う。

 テクノフロンティアもインダストリーフロンティアも、ロボットの専門展ではないため、ロボット関連の展示がそれほど多いわけではないが、他にもいくつかのブースでロボット関連の展示があった。

 次回展は今回の青海展示棟ではなく、東京ビッグサイトの東展示棟で2022年に開催を予定する。 

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)



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