[国際ロボット展 特別リポートvol.4]相次ぐオプションやサービスの拡充/リョーサン、Dobot、住友商事マシネックス
特別リポートvol.3で取り上げた以外にも、「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場では協働ロボットの展示が目立つ。ドイツや中国メーカーのロボットを販売するリョーサンや、Dobot(ドゥーボット)ブランドで展開する中国Shenzhen Yuejiang Technology(深圳市越疆科技)、住友商事グループ傘下の住友商事マシネックス(東京都千代田区、佐橋明三社長)なども協働ロボットシステムを展示した。
パソコンの初期設定をロボットで/リョーサン
リョーサンは、ドイツ・Franka Emika(フランカ・エミカ)と中国・新松ブランドの協働ロボットを輸入販売する。会場ではフランカエミカのロボットを使い、パソコンのキッティング作業をするデモシステムを展示した。キッティングとは、パソコンやスマートフォンなどのIT機器を、ユーザーがすぐ使えるようにセットアップする作業のこと。
ロボットの手首についたカメラでパソコンの表示画面を確認し、状態を把握。ロボットハンドがつかんだ棒で、キーボードを押していく。パスワードの入力などもできるという。必要なソフトウエアをインストールするため、USBフラッシュメモリーの抜き差しなどもロボットがこなす。
「専門の企業では膨大な数量のキッティングを人手でしているが、こうした作業までロボットでできる。7軸全てにトルクセンサーを搭載し、繊細な作業に向くフランカエミカならではの用途」とソリューション事業本部の萩山公晴プロジェクトマネジャーは話す。他にも、ソフトウエアのオプションを購入すればさまざまな作業を容易に自動化できるという。
非接触でも停止してさらに安全に/Dobot
Dobot(ドゥーボット)ブランドで展開する中国Shenzhen Yuejiang Technology(深圳市越疆科技)は、可搬質量3kg~16kgまでの協働ロボットのラインアップをアピールするとともに、協働ロボット用の新オプション「Safe Skin(セーフスキン)」を紹介した。協働ロボットは通常、人に衝突すると停止するが、セーフスキンを装着することで接触前に検知し、停止するため、より安全性を高められる。
「Dobotは教育向けのMagician(マジシャン)やそれを産業用に進化させたMG400など小型ロボットのイメージが強いが、通常サイズの協働ロボットの認知度も少しずつ高まってきた」とDobot製産業用ロボットの代理店のTechShare(テックシェア、東京都江東区、重光貴明社長)の宮島健Dobotプロダクトマネージャーは言う。
売って終わりではない/住友商事マシネックス
住友商事グループ傘下で、各種産業設備などを取り扱う住友商事マシネックスは、自社で取り扱う韓国の斗山(ドゥーサン)ロボティクスの協働ロボットなどを展示する。
今回はデモ展示だけではなく、日立システムズフィールドサービス(東京都江東区、萩原亮社長)と協業して提供する斗山ロボティクス製の協働ロボットのアフターサービスや、リンクス(東京都品川区、村上慶社長)と共同で実施するトレーニングサービスなど、さまざまサービスもPRする。ロボティクス推進室長の高木正義メカトロニクスイノベーション本部長補佐は「売って終わりではない。売り切りだけのビジネスはしたくない」と、サービスの重要性を強調する。
この他、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のaT ROBOTICS(アットロボティクス、東京都世田谷区、竹中司社長)が構築した自律移動型搬送ロボット(AMR)の協調制御のデモなども大きな注目を集めた。
国際ロボット展は明日3月12日まで開催している。
(ロボットダイジェスト編集部 曽根勇也、桑崎厚史)
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