産業用ロボット工場をリニューアル、工程間搬送にAMRを導入/ダイヘン
組み立てから検査の流れをスムーズに
ダイヘンは2月上旬に産業用ロボットの工場の設備をリニューアルし、ロボットの組み立てエリアから検査エリアまでの工程間搬送を自社製AMRでできるようにした。
従来、この作業は無人搬送フォークリフト(AGF)でしていた。しかし、ロボット本体とロボットコントローラーを同時に運べず、作業効率に改善の余地があった。柳川剛三企画課長は「AGFは車体が重く、旋回する時に軸となる車輪が床を傷付けたり、搬送路のガイドに使う磁気テープの定期的な貼り替えが必要になるなど課題は多かった」と話す。
AMRの導入に伴い、ロボット本体とロボットコントローラーを同時に持ち運べるようにし、搬送効率が大きく向上した。車体重量はAGFより軽くなったため、床面への負担も軽減。AMRは自律的に移動できるため、搬送ルートを指示する磁気テープも不要になった。
工場の複数箇所に、無人搬送車(AGV)向けに同社が開発したワイヤレス充電システム「D-Broad(ブロード)」を設置する。搬送物の積み下ろしなどでAGFやAMRが停止する位置にD-ブロードを配置、送電することで、バッテリーを都度充電できる。柳川課長は「AGFやAMRが稼働し続ける環境を構築することで、生産効率が向上する」と語る。
技術を結集した賜物
ダイヘンの産業用ロボット用の工場は、神戸市灘区の六甲事業所内にある。同工場はロボットや工作機械を使い、2015年からロボットの製造の自動化に積極的に取り組んでいるのが大きな特徴だ。柳川課長は「さまざまな工程を自動化するため、わが社の技術者の力を結集した」と胸を張る。
ロボットに使う部品の入出庫を自動倉庫で管理し、工作機械での部品加工はフレキシブル・マニュファクチャリング・システム(FMS、多品種少量の部品の生産に対応できる柔軟なシステム)で自動化した。加工後の部品のバリ取りなどの仕上げ加工やロボット本体の組み立てを垂直多関節ロボットが担う。組み立ては①ベースユニット②大型機を除くロボットアームの上腕③同下腕④大型機――と部位や種類ごとにエリアを分ける。柳川課長は「ロボットに任せることで、作業のムラがなくなった」という。