[特集 2023国際ロボット展vol.4]今ロボットに何ができるか/安川電機 岡久学 ロボット事業部長
具体性高めたメイン展示
安川電機が推進する「アイキューブ・メカトロニクス」は、メカトロ製品にデジタルデータ活用を融合させたソリューションコンセプト。これまでの国際ロボット展(iREX)でも、アイキューブ・メカトロニクスをベースにした展示が注目を集めてきた。
前回展では、コンセプトの見せ方に工夫を凝らしたメイン展示が多くの来場者の関心を集めた。複数のロボットセルが個別のオーダーに応じ、指定のブロックを指定の順番に並べて文字列を作る展示を覚えている読者もいるだろう。
そこからさらに進化し、今回展では部品形状や作業手順の異なる組み立て作業をデモンストレーションする。どれも同じ形状のブロックをハンドリングした前回展とは異なり、ロボットハンドの交換が必須になる他、部品を認識し組み立てるエンジニアリングも求められる。これらは実際の製造現場では不可欠な要素で、前回展で示したコンセプトをもとに、具体的なソリューションに近づけたということだ。
個々のソリューションも進化
前回展が開催された2022年3月当時と比べても、省エネやカーボンニュートラル(炭素中立、CN)といった環境対応のニーズは高まっている。今回展では、CNに貢献するソリューションとして塗装ロボットシステムを展示する。塗装作業は塗料や溶剤の飛散を防ぐ密閉されたブースで行い、強力な空調が必要になる。同社は塗装ブースを小さくすることで空調を含むエネルギー消費の低減を狙い、小さな塗装ブースに収まるロボットを組み合わせた。
また、自律型ロボット「モートマンネクスト」を前回展の参考展示から、より具体性を高めた展示の仕様にする。その他、電気自動車(EV)向けにも活用できる溶接関連のアプリケーションや、デジタル技術を用いた各種ソリューションなども展示する。