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2024.07.25

連載

[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.06 遠隔操作

最近よく聞く言葉だけど、「それどんな意味?」と聞かれたら自信を持っては答えにくい――。そんな言葉はありませんか? 新連載コラム「いまさら聞けないキーワード」では、そんなロボット業界のキーワード・新ワードを紹介します。今回は、ロボットの活躍を後押しする可能性を秘める「遠隔操作」がテーマです。

 ロボットを動かす方法のうち、ロボットのある場所から離れた場所にいる作業者が、リアルタイムで動作を指示するのが遠隔操作です。作業者の手元にはロボットを遠隔で操作するための装置がありますが、ジョイスティックやテレビゲームのコントローラー、タブレット端末など、方式はさまざまです。
 手元のロボットを手で動かし、遠隔地にあるロボットに全く同じ動きをさせる遠隔操作方式を「マスター・スレーブ」と言いますが、マスター(主人)とスレーブ(奴隷)との表現が問題視され、最近では「リーダー・フォロワー」や「プライマリー・レプリカ」などの呼び方が提案されています。(関連記事:[コラム]専門用語でも「奴隷」が廃止に?

川崎重工業が開発した遠隔操縦ロボットシステム「Successor-G(サクセサーG)」はグラインディング作業の作業負荷を軽減する

 遠隔操作は徐々に実用化されるケースが出てきていますが、その背景にあるのは通信技術の進歩です。近距離であれば有線で遠隔操作できますが、自宅やオフィスから工場のロボットを操作するには無線が使われることが多いです。2020年に第5世代移動通信システム(5G)のサービスが始まり、5Gやローカル5Gで通信速度が大幅に向上し、タイムラグの少ない遠隔操作を実現できるようになったのです。

 遠隔操作ロボットが活躍するのは、3K(危険、汚い、きつい)作業や、作業者が近くにいない場合です。高所や高温下での作業や重量物や危険物を扱う作業の他、地震などで被災した建物に立ち入ったり、医師が遠隔地から手術をするロボットもあります。3K作業への適用は必ずしも自動化だけが目的ではなく、3K作業からの解放との意味で、開発や実用化に強い意義があります。今後さらに遠隔操作技術が進歩すれば、ロボットが活躍できる領域を一層拡大するでしょう。

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