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2024.08.08

連載

[注目製品PickUp! vol.69]4社コラボで開発! 500万円からの中小向け「食品箱詰め装置」/エプソン販売、フレアオリジナル、エヌアイシ・オートテック、SMC

今回取り上げる「食品箱詰め装置」は、エプソン販売(東京都新宿区、栗林治夫社長)、フレアオリジナル(長野県坂城町、田中陽一郎社長)、エヌアイシ・オートテック、SMCの4社が共同開発した食品箱詰め用のロボットシステムだ。コンパクトな設計で、スペースに余裕がない中小の食品工場でも導入しやすい。パッケージ化することで個別設計などを省き、価格も抑えた。「食品製造業の人手不足解消に貢献したいとの理念に基づき開発した。仲間をさらに増やし、広く普及させたい」とプロジェクトメンバーは口をそろえる。

仲間を集め、開発をスタート

 「食品箱詰め装置」は、食品の箱詰めに使うロボットシステムだ。水平多関節(スカラ)ロボットや架台、ロボットハンドなどをパッケージ化して開発した。包装された焼き菓子のような対象物(ワーク)だけでなく幅広い食品に対応する汎用的な装置として提案する。

 開発プロジェクトが始まったのは昨年11月。最初はエプソン販売とSMCの2社からスタートした。
 両社は経済産業省の委託事業を推進するために結成された組織「食品TC(テクニカルコミッティー)」のメンバーで、総菜の盛り付けロボットの開発に参画している。食品製造業の人手不足は深刻で、盛り付け以外の工程でも自動化が求められている。そこで、人手がかかっている箱詰め工程の新たなソリューションを検討し始めたのが、このプロジェクトの始まりだ。

SMCの秋山武史課長(上)とエプソン販売の山崎未鈴課長

 エプソン販売はロボットアーム、SMCはロボットハンドを扱うが、それだけでは「食品箱詰め装置」を開発できない。そこで、年末にかけてロボットシステムの胴体となる架台用アルミフレームのメーカーのエヌアイシ・オートテック、それら要素機器をシステムとして組み上げるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のフレアオリジナルに声をかけた。
 「ロボット関連の機器メーカーやSIerが中心となり、理念を共有するメンバーが協業することでプロジェクトを発足することができた」とSMC国内営業部の秋山武史課長は言う。

 エプソン販売では、食品製造業の箱詰め工程の自動化を複数実現してきた実績がある。一つのユーザーの課題を解決すると他の会社からも声がかかるようになり、食品の箱詰め工程の自動化はニーズが高いことは分かっていた。そこで、食品箱詰めをターゲットに据えた。

 これまでは顧客の現場ごとに開発したシステムを納入していたが、「パッケージシステムにすれば、個別設計などの手間を省いてコストを下げられ、納期も大幅に短縮できる。これなら中小の食品製造企業でも導入しやすいシステムを実現できる」とエプソン販売エンジニアリング営業推進部の山崎未鈴MS企画推進課長はパッケージ化の意図を語る。

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