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2024.08.27

連載

[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.07 3Dビジョンセンサー

最近よく聞く言葉だけど、「それどんな意味?」と聞かれたら自信を持っては答えにくい――。そんな言葉はありませんか? 新連載コラム「いまさら聞けないキーワード」では、そんなロボット業界のキーワード・新ワードを紹介します。今回は、ロボットの「目」になる3Dビジョンセンサーです。

 自動化システムの手足になるのがロボットアームや搬送ロボットの走行部だとしたら、目にあたるのがビジョンセンサーです。ビジョンセンサーは、対象物を撮像しデータ化します。場合によっては人工知能(AI)なども活用しながらそのデータを解析し、形や向きを判断するわけです。

 2Dビジョンセンサーでは対象物の姿を平面で捉えますが、3Dビジョンセンサーは、そこに高さを加えた3次元で捉えます。3次元で捉える手法には、人の目のように左右の2つのカメラで撮像するステレオ式や、光源から発信したレーザーが物に当たって返ってくるまでの時間差を検出するToF(トフ、Time of Flight〈タイム・オブ・フライト〉の略)式などがあります。

「2023国際ロボット展」でも数多くの3Dビジョンセンサーが展示された。

 ステレオ式は高精度なセンシングが可能ですが、定期的に校正作業が必要になります。
 ToF式は広範囲をセンシングでき、暗所でも撮像できることからピッキングロボットなどに向いている方式です。ただし、太陽光のある屋外では使用できず、高さ情報にわずかな誤差が出てしまうことなどが欠点とされます。一般的に、光を透過してしまう透明な材質や、強い光沢をもつ材質、反射の少ない黒い材質の検出は苦手とされますが、技術の進歩により少しずつ改善しています。

 3次元で捉えることで、物の位置や形、大きさが不ぞろいでも正確に認識できるようになり、より柔軟なロボットシステムを実現できるようになります。3Dビジョンセンサー本体はもちろん、それに付随するデータ処理システムも加えるとコストが大きくなりやすいため、使い方に応じて適切な製品を選ぶことが重要です。

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