[SIerを訪ねてvol.9]独自の教示レス研削システムを開発!人材力で差別化を【前編】/三明機工
顧客に適したロボットを提案できる
静岡市清水区の清水駅から2kmほどの場所に本社工場を構える三明機工は、FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会、会長・久保田和雄三明機工社長)の会長会社としても知られる。
ダイカスト関連の装置や鋳造プラント、液晶パネル製造装置の自動化を得意とし、その他にも食品や住宅設備など多様な業界にロボットシステムを提供する。
ダイカストの自動化ではファナック、組み立てや溶接では安川電機など、用途に合わせてさまざまなメーカーのロボットを使用する。ティーチングの方法はメーカーによって異なり、多くのメーカーに対応するには相応の手間がかかるが、「重要なのは顧客に最も適したロボットを提案すること。さまざまなロボットの操作や特性を覚えなければならず、ロボットシステムの中身や構築する現場も一つ一つ異なるので、SIerの技術者は毎日が勉強」と久保田社長は言う。
「協働ロボットで最大手のデンマーク・ユニバーサルロボットの製品を国内で初めに使ったのは当社」(久保田社長)と言うように、新しい技術も積極的に取り入れる。
ロボットを知能化できるコントローラーを販売するベンチャー企業MUJIN(東京都墨田区、滝野一征最高経営責任者<CEO>)ともいち早くパートナー契約を結び、自社で提案できるようにした。
大型鋳物の研削システムをパッケージに
パッケージ化したロボットシステムも自社で開発する。現場ごとに一から構想を練るのではなく、用途に合わせてロボット本体とビジョンセンサーなどの周辺機器一式をあらかじめセットにしたロボットシステムだ。
これまでも双腕ロボットを使った金型の組み立てシステムなどは提案してきたが、このほど「大型鋳物グラインダー掛けロボット」を新たに開発した。砂に粘結材と水を加えて作る生型で鋳造すると、大型鋳物の表面は型の浸食によりざらざらになり、無数の凹凸ができる。この表面を回転砥石(といし)で薄く削り、滑らかにするロボットだ。
従来は人が手持ちのグラインダーで研削していたが、これが重労働だった。大量の火花が散るため宇宙服のような防火服を着込み、天井から吊り下げた大型のグラインダーを操る。慣れた人でも長時間は難しい過酷な作業という。このグラインダーを操る作業をロボットに置き換えた。