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2024.09.10

無人搬送システムを体験できるショールームを開設/eve autonomy

ヤマハ発動機と自動運転ソフトウエアの開発を手掛けるティアフォー(名古屋市中村区、加藤真平社長)の共同出資会社eve autonomy(イブ・オートノミー、 静岡県磐田市、星野亮介最高経営責任者<CEO> )は8月21日、屋内外対応型の無人搬送システム「eve auto(イブ・オート)」の走行機能や操作性などをテストできるショールーム「竜洋ショールーム」を本社の倉庫施設内に開設した。

走行機能や操作性などをテストできる

「竜洋ショールーム」の外観(提供)

 イブ・オートノミーは、自律走行型の電気自動車(EV)を使用した屋内外対応型の無人搬送システム「イブ・オート」を提供する。
 今回、竜洋ショールームを開設したのは、静岡県西部に位置する磐田市の本社の倉庫施設内で、ショールームの床面積は約1200㎡だ。来場者は屋内外での無人搬送のデモをはじめ、電動ゲートやシャッターなどの設備との連携、複数台が同時に走行する際の運用方法などを見学できる。また、必要に応じて、イブ・オートの緊急停止や各種操作ツール、障害物を検知して回避するテストなども体験できる。

 同社は2022年11月にイブ・オートのサービス提供を開始して以来、主に浜松市浜名区にあるヤマハ発動機の浜北工場での実機見学と、顧客の敷地内でイブ・オートを1日体験できるサービス「1Day体験プログラム」の2つを提供してきた。しかし、浜北工場の実機見学ではイブ・オートの操作やテストができず、1Day体験プログラムは有償である上に準備期間も必要だ。「より手軽にイブ・オートの走行機能や操作性などをテストできる場所がほしい」との顧客要望を受け、竜洋ショールームの開設に踏み切った。

開所式を開催

報道関係者向けに「竜洋ショールーム」の概要を話す星野亮介CEO

 イブ・オートノミーは竜洋ショールームの開設に伴い、8月21日には報道関係者向けの発表会も開いた。星野CEOは「工場や倉庫は建屋外の路面が不安定であることも多く、屋外の無人搬送が難しい。わが社はヤマハ発動機のEV技術とティアフォーの自動運転技術を用いて屋外搬送の自動化の普及を目指し、『屋外搬送の代名詞』のような存在になりたい」と話した。

ブルートゥースによってEV車両の接近を検知し、自動でゲートやシャッターを開閉する設備連携機能「eve autoコネクト」

 発表会では、イブ・オートを使った屋内外での無人搬送のデモも披露した。まずは、近距離無線通信(ブルートゥース)によってEV車両の接近を検知し、自動でゲートやシャッターを開閉する設備連携機能「eve autoコネクト」を紹介した。

 また、複数のEV車両が工場や倉庫内の交差点に差し掛かった際に、交差エリアに先に入ったEV車両が交差エリアから抜けるまでもう一方のEV車両が待機する「複数台調停機能」や、幅1.7mの狭い通路やスロープでの走行デモも披露した。この他、緊急停止時の復旧手順や障害物の検知といった安全面のテストも実施した。

  • スロープを走行するEV車両

  • 幅1.7mの狭い通路を通過するEV車両

 事業開発部マーケティングループの龍健太郎マネージャーは「日本では、屋外を走行できる無人搬送車(AGV)や自律走行型搬送ロボット(AMR)の実績がまだ少ない。わが社の無人搬送システムがいかに安全で、停止精度が高いのかを竜洋ショールームで体験してもらいたい」と今後の意気込みを語る。
                     (ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

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