「植物工場なら日本は勝てる!」、日本にオープンイノベーション拠点開設【前編】/Oishii Farm 古賀大貴CEOインタビュー
植物工場の開発から栽培まで自社で
――まずはOishii Farmがどのような会社なのか教えてください。
2016年に米国で創業したベンチャー企業で、自社開発の植物工場でイチゴを生産しています。植物工場の外販を目指す企業もありますが、わが社はその植物工場で果物や野菜を栽培して販売するところまで手掛けています。
――栽培する作物として、イチゴを選んだ理由は?
葉物野菜の栽培はそれほど難しくないので、植物工場ではよくレタスが栽培されています。しかし、イチゴなどの受粉が必要な作物は難しい。イチゴができればトマトでもメロンでも何でも作れます。その技術力の証明と、イチゴは高品質なものを作れればブランド化がしやすい果物なので、まずはイチゴを選びました。
――受粉が難しいのですね。
ハウス栽培ではハチを放って受粉させることができますが、植物工場のような完全に人工的な閉鎖空間ではハチが思うように活動してくれず、受粉が難しいです。適切に受粉が行われるようハチにとって快適な環境制御をする、そこにわが社の技術のポイントがあります。詳細は明かせませんが、今では一般的な栽培方法よりも受粉の成功率が高く、効率的な生産が可能になりました。
――販売状況はいかがですか?
米国では東海岸を中心に、高級価格帯のイチゴとしてスーパーマーケットなど数百店舗で販売しています。販売は好調ですが、生産が追いついておらず、今年6月にはニューヨーク市に隣接するニュージャージー州で大型の次世代植物工場「メガファーム」を稼働させました。サッカーコート3面分以上の2.2万㎡の敷地面積を有し、植物工場としては世界最大級で、これまでの小規模な工場とは一線を画する生産能力を誇ります。これからも生産量や生産拠点を増やして販売エリアを拡大し、米国に限らず東南アジアや中東などグローバルに展開していきたいと考えています。植物工場で農業が「工業化」すると必然的に寡占化が進みますから、電気自動車業界のテスラのように早期に強固なブランドを築き上げたいです。