[活躍するロボジョvol.35]文系出身の新人が奮闘!/TECHNO REACH 家頭朋伽さん
故障を未然に防ぐ
パナソニックやファナックなどのロボットのメンテナンスを手掛けるTECHNO REACH(旧松栄テクノサービス)の家頭さんは経営企画室企画開発課に所属する。主な業務はロボットメンテナンスの提案営業だ。先輩や上司の客先訪問に同行し、ファナック製ロボットの予防保全の必要性を顧客に説明する。具体的には、ロボットの定期点検を通じて故障を未然に防ぐためのメンテナンスサービスを提案する。
「ロボットを定期的にメンテナンスすれば、突発的な故障を防げるため、ロボットの稼働効率が高まります。現在は入社して間もないため、先輩や上司のサポートを受けながら提案営業を進めていますが、今後は質疑応答を含めて全て自分一人で対応できるようになりたいです」と力を込める。
ロボットに魅了された
家頭さんは、大学や大学院でコミュニケーション学を専攻し、主にコミュニケーションに関する研究をしてきた。授業では、車いす利用者を支援するボランティア団体と協力。学生同士で意見を出し合って、ボランティア団体が車いす利用者をより支援しやすくなるためのアイデアを提案した。
「実際に考えたアイデアが形となり、相手の役に立ったことに喜びを感じました。この時から『自分の発想で新しい価値を生み出し、それを現実に落とし込む』という企画の楽しさを知り、将来は企画営業の職種に携わりたいと思いました」と家頭さんは語る。
家頭さんはそんな思いを胸に、就職活動では業種よりも「企画営業」という職種に焦点を当てて会社を探した。TECHNO REACHに入社を決めたのは、会社説明会でファナック製ロボットの操作を体験した際に楽しさを実感したからだという。
「文系出身でこれまでロボットに触れた経験がなく、ロボット操作も初めてでしたが、自分がプログラムした通りにロボットが動くのに強い感動を覚えました。特に、自分が当初想像していた『カクカクとした機械的な動き』とは異なる滑らかな動きに魅了されました」と振り返る。また、親しみやすい会社の雰囲気や、積極的に意見交換ができる社風も入社の決め手となった。
客観的な視点を持つ
現在、家頭さんが最も力を入れるのが、台湾のテックマンロボットの協働ロボットの操作説明書の作成だ。テックマンロボットの操作を一通り覚えた上で、日本の1次代理店が日本語に翻訳した操作説明書を家頭さんならではの視点で改良していく。
操作説明書の作成で最も気を配るのが、「客観的な視点を持つこと」だ。自分だけが理解できる文章ではなく、初めてロボットを操作する人にとっても分かりやすい内容を目指す。そのため、文章を書き上げた後は、あえて数日間を置いてから再度見直し、最初に気付かなかった部分に修正を加えるなど、客観的に判断するための時間を設けている。
「ロボットに関する知識がないまま入社したからこそ、私にはロボット操作で初心者が感じる迷いや不明点が分かります。読む人が理解しにくいであろう部分を丁寧に説明し、誰でもスムーズに理解できる操作説明書を制作したいです」と語る。
経営企画室の武藤竜比虎室長は、そんな家頭さんを「難しい業務にも真面目に取り組む姿勢が印象的です。操作説明書の作成など、人によっては苦手に感じる作業でも実直に対応し、しっかり形に仕上げる芯の強さがあります」と信頼を寄せる。
セミナー講師を目標に
家頭さんの今後の目標は、テックマンロボットの操作方法を教える自社開催のセミナーに講師として登壇することだ。自ら作成したテックマンロボットの操作説明書を使い、顧客に対してセミナーを実施したい考えで、今年11月の実現を目指している。
家頭さんは「参加者に『ロボットの操作は楽しい』と感じてもらいたいです。初心者の視点に立ち、誰もが理解しやすく、かつ実用的なセミナーを提供したいです」と意気込む。
そんな目標を掲げる家頭さんは、休日には同期の友人たちと集まり、バッティングセンターや旅行に行くという。仕事とプライベートの両立が日々の業務に新たなエネルギーを注ぎ込んでいる。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)