PSで多彩な自動化ソリューションを提案/ナ・デックス
高速サンプリングを実現
ナ・デックスは自動車業界向けの産業機器や電子部品などを取り扱う商社機能と、接合機器や自動化システムなどを開発、製造、販売するメーカー機能を併せ持つ。今回のPSでは、同センターを「スポット溶接ソリューション」「レーザ溶接ソリューション」「ITソリューション」「FAソリューション」「デバイスソリューション」「物流ソリューション」の6つのゾーンに分け、電動化や軽量化が進む自動車業界向けの溶接技術や自動化システムなどを披露した。
中でも注目を集めたのが、レーザ溶接ソリューションのゾーンで紹介された「インプロセスモニタ・パワーフィードバック制御 マイクロライダー」だ。マイクロライダーは溶接部の中心に発生する空洞(キーホール)の深さを、従来の40倍となる毎秒960万回サンプリング(一定周期で計測)できる。これらの情報を基に即座にフィードバック制御をかけてレーザー出力を自動調整し、キーホールの深さを一定に保つ。これにより、レーザーのエネルギーが溶接部の奥深くまで均一に浸透し、強固で高品質な接合が実現できる。
レーザソリューション部の石井勝巳部長は「従来のシステムではサンプリング速度が遅かったため、高速でのフィードバック制御が困難だった。しかし、マイクロライダーはキーホールの深さのわずかな変化にも即座に反応してレーザー出力を自動調整するため、ロボットに組み込むことで高精度なレーザー溶接加工が可能になる。来年度中の発売を目指す」と意気込む。
混載の積み付け作業などを自動化
物流ソリューションのゾーンでは、同社とグループ傘下のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のN.Y.TEC(エヌワイテック、新潟市北区、伊藤健二社長)に加え、中国に本社を置くXYZ Robotics(XYZロボティクス)の日本法人(東京都千代田区、蘇詠善社長)の3社が共同開発した混載積み付けロボットシステム「EFFY(エフィー)03-mix(ミックス)」を披露した。
30kg可搬の安川電機製の協働ロボットを使用し、コンベヤーから運ばれてきた段ボール箱を荷役台(パレット)に混載で積み付ける自動化システムだ。3Dカメラと人工知能(AI)技術を活用し、形状や大きさの違う段ボール箱を教示作業(ティーチング)なしで積み付けられる。
ナ・デックスの中部営業1部物流システム課の榊原亮課長は「物流現場では、複数種類の段ボール箱をパレットに混載する作業の自動化ニーズが大きい。そこで、わが社は事前の商品登録やロボットティーチングなしで、誰でも簡単に操作できる自動化システムを開発した」と語る。
また、ITソリューションのゾーンでは、塗装されていない自動車の車体「ホワイトボディー」の外観検査の自動化ソリューションを披露した。ホワイトボディーの外観検査とは、塗装や組み立てに入る前に自動車の車体に不良がないかを確認する工程だ。具体的には、車体表面に照明を当て、浮かび上がった傷や凹凸、スパッタ(溶融金属の飛散)を検査員が目視で確認する。
しかし、無塗装の車体は光を反射しにくく、傷などが浮かび上がりにくいため、検査員が不具合を見落とすリスクがある。そこで、同社では現在、8ビット(256階調)のRGB(赤・緑・青)照明と画像処理技術を活用した自動外観検査システムの研究開発を進めている。不具合の種類に応じて、その不具合が見やすくなる色の照明を車体に当ててカメラで撮影し、画像処理にかけて不具合を検出する仕組みだ。PSではその研究成果の一端を来場者に示した。