[気鋭のロボット研究者vol.9]ロボは動きを記録する媒体【前編】/神戸大学大学院横小路泰義教授
産業用ロボットもサービスロボットも、人の仕事をロボットに任せようとの考えが原点にある。つまり、ロボットの進歩は人の機能に近付くことに他ならない。横小路泰義教授は人の外見や形状ではなく機能に着目し、ロボットで実現しようと研究する。多岐にわたる研究テーマのうち、前編では遠隔操作技術を紹介する。
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産業用ロボットもサービスロボットも、人の仕事をロボットに任せようとの考えが原点にある。つまり、ロボットの進歩は人の機能に近付くことに他ならない。横小路泰義教授は人の外見や形状ではなく機能に着目し、ロボットで実現しようと研究する。多岐にわたる研究テーマのうち、前編では遠隔操作技術を紹介する。
産業用ロボットを使ってバリ取りや面取り、磨きなどの加工を自動化する研究に力を注ぐ金沢大学の浅川直紀教授。ティーチング(ロボットに動作を覚えさせる一般的な方法)でロボットを動かすのではなく、「CAM」と呼ばれるソフトウエアを使って動作プログラムを生成しようと模索する。CAMを使う時に重要なのは「一つ一つの作業を数学的に表現すること」と強調する。
金沢大学の浅川直紀教授は、産業用ロボットを使ってバリ取りや面取り、磨きなどの機械加工を自動化する研究に力を注ぐ。ロボットは通常、ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)を通じて動作プログラムを生成する。しかし、浅川教授は「ティーチングレス主義」を掲げ、「CAM」と呼ばれるソフトウエアを使ってロボットの動作プログラムを作ろうと模索している。
スイスのABBが日本でのシェア拡大に力を入れる。静岡県島田市のテクニカルセンターで2年ぶりにプライベートショー(PS)「ABB Paint Day(ペイントデー) 2019」を開き、新製品を始め熟練工の塗装動作を自動で再現できるロボットシステム、モノのインターネット(IoT)を活用した塗装機などを紹介した。7月8日から12日の5日間で自動車メーカーなどから130人以上が参加。記者向けに事前に開かれた説明会では「送配電事業を売却し、その力をロボット事業に注ぐ。競合メーカーの多い国内市場でさらなる開拓を狙いたい」とABB日本法人(東京都品川区、アクセル・クーア社長)の中島秀一郎ロボティクス事業部長は語った。
ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が足りない――。それならば、SIerの手間が最小限で済むような製品の開発も重要だ。ロボットと周辺機器がある程度までパッケージ化してあれば、1から始めるよりもはるかに短い時間でロボットシステムを立ち上げられ、SIerはより多くの案件をこなせるようになる。それでもSIerの手が回らない場合は、導入する企業自身がシステム構築することもできる。人工知能(AI)技術や独自のプログラミング方法により動作プログラムの作成も簡単だ。[特集SIerになろうvol.12]では、SIerの負荷を軽減するパッケージ製品の中から、工作機械メーカーのオークマとFUJIによる2製品を取り上げ、その特徴や使い方を紹介する。
産業用ロボットがあらゆる産業から注目されている。ロボットは周辺機器や他の設備などと組み合わせてシステム構築しなければ使えないが、そのシステム構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の数が足りていない。成長が確実な産業で、需要は増えるが担い手不足。新規事業を模索する企業にとっては、SIer業界参入の絶好のチャンスだ。
そこで「robot digest(ロボットダイジェスト)」では、工場自動化(ファクトリーオートメーション、FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」編集部とタッグを組んで、「SIerになろう」と題した総力特集を実施した。
金属加工の業界でも産業用ロボットの普及が急速に進む。11月に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた工作機械の専門展「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」でも、各メーカーはこぞって産業用ロボットを組み込んだ自動加工システムを提案した。特に、工作機械専用のパッケージシステムを開発し、「産業用ロボットのプログラミングができなくても使える」とアピールする企業が目立った。
独自の操作方法で、簡単に動作を入力できるFUJIの「SmartWing(スマートウィング)」。これまでロボットを使ったことのない企業でも導入しやすいよう、ハンドや安全カバーなどの標準的な周辺機器も用意した。「ロボットシステムをすぐに立ち上げ、稼働させられる」と藤田政利技術部長は言う。システムの構築を請け負うシステムインテグレーター(SIer)の負担を軽減できると、SIerからも注目される。
電子部品を基板に装着する電子部品実装ロボットで高いシェアを占めるFUJIは、これまで培った技術を応用して2017年に5軸の多関節ロボット「SmartWing(スマートウィング)」を開発した。最大の特徴は、難しかった多関節ロボットの操作を、座標の指示など簡単な設定だけでできるようにしたことだ。
産業用ロボットとはどんな物なのか――。実際にこの目で確かめよう、できれば実際に操作もしてみようと、名古屋市港区のポートメッセなごやで9月に開かれた「名古屋ロボデックス‐ロボット開発・活用展」に出かけた。展示会リポートの前編「産業用ロボットってどう使う?記者が実際にやってみた」では川崎重工業が展示した、宇宙船のコックピットのような場所での塗装ロボットの操作などを体験リポートした。後編では会場で見つけた、注目すべきその他の展示を取り上げる。