AIやAGV、ビジョンセンサーで協働ロボが進化
AGVを協働ロボットの”足”に
オムロンは、卓球の相手をするロボット「フォルフェウス(4代目)」でAIとビジョンセンサーの技術を紹介した。AIの1種である深層学習技術を活用し、対戦相手のレベルを瞬時に判断。相手に合わせた返球で初心者から上級者まで楽しめる。
フォルフェウスは技術を紹介するための展示会用のロボットだが、画像解析などの要素技術は産業用ロボットにも活用されている。
その実例の一つが、同じブースで紹介した自走式のロボットシステムだ。
自社のAGV「モバイルロボットLDシリーズ」と、台湾のテックマン・ロボット製の協働ロボット「TMシリーズ」を組み合わせた。両社は今年5月に戦略的提携を結んでおり、10月末からオムロンがTMシリーズを販売している。
移動も作業もAIで自律的に
人との接触前に避ける協働ロボット
ビジョンセンサーはオムロンのようにアーム先端に付けるほか、別途フレームを設けて設置することもできる。
不二越では協働ロボット「CZ10」の上方1mほどのところにビジョンセンサーを設置し、人との接触を回避するシステムを展示した。ハンドでつかむ対象物を認識するためにビジョンセンサーを使うことは多いが、人との接触を避けるために使うシステムは珍しい。
一般的な協働ロボットの多くは、何かに接触すると止まるようにできている。つまりロボットが止まるためには、人が痛みを感じない程度ではあるが接触が必要だ。しかし不二越の展示では、人と接触しそうになるとロボットが避けるように動く。
ロボット事業部ロボット企画部の安岡秀弘副部長は「痛みがなくとも、接触に恐怖を感じる人は多い。接触する前にロボットが逃げれば、人がより安心してロボットと協働できる」と開発の狙いを話す。
実際の現場をイメージした提案
ロボットが人を避けるシステムを最初に披露したのは、昨年の国際ロボット展。当時はロボットとビジョンセンサーだけで構成した。
「今回の展示では、人とロボットの接近作業が多いベアリングの検査工程を再現し、より実際の製造現場に近い形で提案した。今後も開発を進め、自社内のベアリング工場などで実証を積み重ねたい」と安岡副部長は意気込む。
このほかにも多くの企業がAIやAGV、ビジョンセンサーなどを活用したロボットシステムを提案した。深刻な人手不足で、アーム(腕)とハンド(手)だけのロボットではできない作業まで自動化したいとのニーズは大きい。
ロボットに頭脳(AI)や足(AGV)、目(ビジョンセンサー)などを付与して機能を拡張するトレンドは今後も続きそうだ。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部)