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2024.12.11

「工作機械&ロボット」の最前線がここに!【その2】/JIMTOF2024

11月5日~10日までの6日間、都内の東京ビッグサイトで「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF=ジムトフ2024)」が開かれた。同展は日本最大の工作機械見本市で、東京ビッグサイト全館を使って開催され、12万9018人(重複なし)が来場した。最大のトレンドは「自動化」で、産業用ロボットを組み込んだシステムが会場内の至る所で展示された。ロボット以外の自動化機器の展示もあり、ロボットを切削機として使う提案も目立った。

教示操作盤を一新、ギガキャスト向けの新型機も

ファナックの新型教示操作盤は軽量で持ちやすいのが特徴

 JIMTOFは工作機械の展示会で「その1」では工作機械メーカーの展示を紹介したが、ロボットメーカーも一部出展した。
 ファナックは工作機械やその制御装置のメーカーでもあるが、会場ではロボット関連の展示スペースも広く確保し、新製品や最新ソリューションを披露した。
 その一つが新型の教示操作盤だ。17年ぶりの刷新で、従来品と同等の6.4インチ液晶を搭載しつつ、重量40%減の750gを実現した。体積も45%削減し、かつ手になじむ形状を採用した。軍手をした状態でも操作でき、応答速度なども高めた。
 「試しに持ってもらった人に『外装だけで中身が入っていないのでは?』と疑われたほど軽い。持った状態で長時間作業をするなら、軽くて持ちやすいことはとても大切」とロボット研究開発統括本部の滝澤克俊技師長は言う。

大型金型への離型剤スプレーを模したファナックのデモ

 また、新開発のロボット「M-1000/550F-46A」も展示会場の天井に届きそうなほど高さのある展示で注目を集めた。同機種は550kg可搬で4.6mのロングリーチを誇る。近年話題のギガキャストをターゲットにした製品で、ギガキャスト金型への離型剤のスプレー作業を模した動作を披露した。

協働ロボットの新バージョンを発表

不二越は新規参入の歯車研削盤と、新機能を搭載した協働ロボットを組み合わせて展示

 不二越も工作機械とロボットの両方を製造する。同社は、新開発の協働ロボット「MZS05」を使い、工作機械へのワーク(被加工材)の付け外しを提案した。周囲をセンシングし、人や物が接近したら接触前に停止する機能を備える。人や物がその場から離れれば、再起動の操作をしなくても自動で動作を再開する。
 「一般的な協働ロボットの『一つ上の安心』を提案したい。今回展に合わせて発表したが、多くの来場者に興味を持ってもらえた」とロボット事業部企画部宝島章副部長(当時)は言う。
 同ロボットと組み合わせて展示したのは歯車研削盤「GSGT260」。同社はスカイビング歯車加工機や歯車加工用切削工具、内面研削盤やねじ研削盤などを製造する。それらのノウハウを生かして開発した機種で、歯車研削盤を発売するのは今回が初めてだ。

ローレルバンクマシンは8軸でも操作しやすいユーザーインターフェースを開発

 ローレルバンクマシン(東京都港区、池辺正社長)は、開発中の8軸多関節ロボット「xLobomo(クロスロボモ)」を参考出品した。同製品は昨年の「国際ロボット展(iREX)」でも展示しているが、そこでヒアリングした要望を製品に反映させた。
 同製品は、垂直多関節ロボットの関節の一部がスライドするため、回転軸と直線軸を組み合わせたより自由な動作が可能だ。それだけに、操作の複雑さが課題だった。そこで、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を進化させた。
 画面上にロボットの姿勢と複数のジョイスティックを表示し、直感的な操作を可能にした。また、回転軸と直線軸の一部だけを動かしてスカラロボットのような動作をさせる「スカラモーション」」などいくつかの動作をコマンドとして簡単に設定できるようにした。「来場者には『8軸でも簡単に操作できる』と評価していただいた」とメカトロニクス事業部の中西秀行事業部長兼要素技術研究室長は自信を見せる。

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