[注目製品PickUp! vol.9]設置面積は座布団以下!? 500mm四方に収まるコンパクトなロボット【前編】/スギノマシン「スイングアーム式コラムロボット」(1/3)
6つの『超』技術
多関節ロボットにはない特徴も
多様な製品を手掛ける同社が、今回紹介する産業用ロボット「スイングアーム式コラムロボット」を発売したのは2017年。
そもそも、コラムロボットを公の場で初めて披露したのは、その前年の16年に東京で開かれた工作機械の見本市「第28回日本国際工作機械見本市」(JIMTOF2016)だった。JIMTOF2016での反響を受け、17年に改良版をリリースした。
経営企画本部長と新規開発部長を兼任する杉野岳常務執行役員は「多関節ロボットの市場は巨大で、すでに強者もいる。その中で、今さら当社が他社と同じような多関節ロボットを出しても勝ち目は薄い」と語る。
そのため、コラムロボットは6軸ロボットではあるが、その外観は一般的に広く普及する多関節ロボットとは大きく異なる。左下の写真を見るとよく分かるだろう。
外観だけではない。ロボットの構造など、他社の多関節ロボットにはない特徴も多い。
500mm四方に収まる
コラムロボットの最大の特徴は、非常に狭いスペースでも稼働できること。幅と奥行きが500mmあれば設置でき、加工物の搬送や脱着に加え、切削工具などを持たせれば加工もこなせる。
開発を担当した新規開発部開発プロジェクトグループの青木卓也係長は「500mm四方のスペースは、人が一人立てる限界」と話す。日常生活でなじみのある物と比べると、500mm四方のスペースは一般家庭などで広く使われる「銘仙判」と呼ばれる座布団のサイズよりも小さい。
コラムロボットは、棒状のボディーにロボットアームを縦に収納する構造を採用しており、アームがボディーの後ろ側にはみ出さない。アームを平行に折り畳んだ状態でボディーが旋回し、加工物などをつかむ時にアームが前後や上下に動く。
500mm四方のスペースにコラムロボットが収まるのは、この独自の構造によるものだ。
垂直多関節ロボットは自由度が高いが、周囲の広いスペースを安全柵で囲う必要がある。
一方、コラムロボットはアームがボディーの後ろ側にはみ出さないため、確保するべき安全エリアを小さくでき、省スペースを実現する。