[SIerを訪ねてvol.9] 独自の教示レス研削システムを開発!人材力で差別化を【後編】/三明機工
タイに進出し、現地にロボットアカデミーも
教示(ティーチング)作業が不要な大型鋳物向けロボット研削システムを開発するなど、独自の取り組みで差別化を図る三明機工。2000年代前半からは海外展開にも力を入れる。
「海外に工場を移す企業が増えたことで『現地でサービス体制はないか』と顧客から聞かれることが増えた」と久保田社長は言う。
当初は海外展開に全く関心がなかったが、特にタイに進出する顧客が多かったため、06~07年にタイのアルミ鋳造会社を回るとロボットを使っている企業はほとんどなかった。
なぜロボットを導入しないのか、その理由を聞くと「ロボットを使ったシステムの構築や、ティーチング作業をできる技術者がいないから」という。そこで久保田社長が「もしロボットが扱える技術者がタイにいたらロボットを使うか」と聞くと「それなら使う」との返答だった。
そこで11年、バンコク近郊で工業団地などがあるチョンブリー県に現地法人の三明メカニカルを設立した。アフターサービスだけでなく、ロボットシステムの新設にも対応する。
また、タイ工業省の次官や大臣などに面会した際に「これからのタイにはロボットの技術者が必要」と久保田社長は力説。合意を得られ、13年に職業訓練短期大学校「タイ・ジャーマン・インスティテュート(TGI)」の中に「TGI-三明ロボットアカデミー」を開設した。
自社の技術者を半年間TGIに派遣して、タイ人の講師を4人育成。今ではその講師たちが、将来ユーザー企業の技術者となるかもしれないタイの若者に、ロボットのティーチング方法などを教えている。
また、17年には中国の江蘇省に蘇州賛明自動化科技を設立。広い工場を持つ現地法人で、日系企業だけでなく現地企業向けにもロボットシステムを納入している。