国際シンポジウムで国内外の研究者・技術者が発表/ハーモニック・ドライブ・システムズ
講演、発表が20件
今回の国際シンポジウムでは、13の招待講演と、2つの記念講演が開かれた。ハーモニックドライブの研究発表も3件あり、海外関連会社による発表も2件あった。国際シンポジウムと銘打つ通り、登壇者の約半分は国内だが、残り半分は米国やフランス、英国、ドイツ、中国など世界各地から集まった。
シンポジウムの開会に先立ち、長井啓社長が登壇。「ハーモニックドライブ減速機は当初用途が少なく、1980年代に工作機械に次ぐ用途として産業用ロボットに一抹の光が見え始めたが、今後どのように進化させるべきかなど分かっていなかった。この黎明(れいめい)期に、性能面での可能性や、顧客の潜在ニーズをどこまで具現化できるかなどを追求するためにこのシンポジウムは始まった。今回は当社の製品や技術に限定せず、動く物の制御に関連する幅広いテーマで20の講演を用意した。皆さまの課題解決の一助となれば」と述べた。
巨大なヒト型ロボットを開発
ユーザー企業による減速機の使用事例では、BRAVE ROBOTICS(ブレーブロボティクス、東京都千代田区)の石田賢司社長が登壇。人が搭乗したまま車型からヒト型に変形できる約4mのロボット「ジェイダイト・ライド」を紹介した。遊園地などのアミューズメント向けで、車として走ることも、ロボットとして歩行することもできる。
ハーモニックドライブ減速機を組み込んだ独自のアクチュエーター(エネルギーを動力に変換する機械要素)を関節部に使っており、今後は屋外移動型サービスロボット向けとしてそのアクチュエーターの外販も目指す。
「ハーモニックドライブ減速機は強い力がかかった時に、歯車のかみ合いがずれるラチェッティングと呼ばれる現象が起こるが、その分歯が折れたり、歯のかみ込みで動かなくなる心配は少ない。たとえ道で自動車とぶつかっても、その場で動けなくなるのではなく、安全な場所まで退避できる」と石田社長は採用のメリットを語った。
(編集デスク 曽根勇也)