[ロボットが活躍する現場vol.8]自動車産業の変化を見据え、汎用的なラインを構築/テラダイ(1/3)
ダイカストによる自動車部品が得意
今回取材したテラダイは、金属部品のメーカーだ。溶かした金属を金型に流しこみ、専用機で圧力をかけながら成形するダイカストと呼ばれる鋳造加工を得意とする。自動車産業を中心に、幅広い業界に取引先を持ち、独自の製法など高い技術力で評価されている。
同社は2017年に導入したロボットシステムで、自動車のエンジン部品を生産する。従来は1ラインを1人で担当していたが、ロボットシステムにより2ラインを1人で担当できるようになった。今後は生産だけでなく、検査の作業も自動化する計画だ。
省人化で生産コストの引き下げを狙う。生産するのはエンジン内でエンジンチェーンの張力を調整する「テンショナー」という部品で、大きさは50mm角ほど。自動車の小型部品は、海外とのコスト競争が激しく、単価が下がる一方という。そこで省人化を図り、人件費の削減を目指した。
「ロボットが働きやすい」環境に
工程は主に①炉で金属を溶かす②ダイカストマシンで成形する③トリミングプレス機で余分な部分を取り除く④ショットブラストでひだ状の不要部分(鋳バリ)を除去する⑤検査――の5つに分かれる。
大半の作業を専用機が担うが、機械間の搬送や機械への加工物の設置には人手が要る。従来は①と②の工程までを自動化していたが、17年導入のロボットシステムにより⑤の検査の直前まで自動化した。トリミングプレス機やショットブラスト機への加工物の設置やその間の搬送などをロボットやコンベヤーが担う。
ロボットの導入にあたり、作業フローを見直した。例えば、部品の種類分けのタイミングだ。
一つの金型、一度の成形で、つながったままの4つのテンショナーが得られる。それを、トリミングプレスの工程で、一つ一つに切り離す。その4つの形状はそれぞれ微妙に異なるため、従来はトリミングプレス機の下にスロープ状の受け取り機構を4つ設け、テンショナーを成形位置ごとに分けて管理していた。