[ロボへの道も一歩からCase.1-③]SIer不在で進行中/サンエース編
つかみ方一つとっても大変
【前回までのあらすじ】 <前回記事はこちらから>
今回の新型コロナウイルス禍による人手不足で、作業の一部を自動化することにしたサンエース(岐阜県各務原市、藤田斉社長)。ロット数の多い鋳物部品「エルボ」の耐圧検査を自動化することに決め、あとはプロのSIerに任せようと藤田社長は思っていた。しかし、生産技術に長年携わってきた斉藤さんが、すでに図面を作成している姿を目にする。「できるところまでは自分たちで進めてみよう」。そうしてサンエースの挑戦が始まった。
少し寒くなり始めた10月9日、サンエースに2度目の訪問をした。
システム構築を担うSIerに頼らず進めることにした同社の進捗(しんちょく)が気になり、期待に胸を膨らませる。取材当日は、あいにくの雨だったが、サンエースを訪れると前回同様、藤田社長と斉藤さんが気さくに迎えてくれた。もちろんそこにSIerの姿はない。
自動化の実務に関しては、40年以上も生産技術のさまざまな経験を積んだ大ベテランの斉藤さんが担っている。ロボットやハンドなどの実機はまだないが、ロボットの動きや必要なスペース、エルボのつかみ方やストック方法など、考えなければいけない事は多いという。
「実機がない中でどうやって考えるんですか?」(記者)
「設計支援ソフト(CAD)データの断面図さえあれば、ある程度は何でもできますよ」(斉藤)
カタログなどからデータを抽出し、CADデータを作成、シミュレーションする。必要ならパーツ部品を自分で作って、イメージを膨らませるとのこと。
とはいえ…
「SIerに頼らずに作る上で、大変だったり、苦労される所はありますか?」(記者)
「苦労ですか…全部ですね!」(斉藤)